夫と集めたアートや本が彩る、30年暮らすアパルトマン。パリ在住シニアモデルのくつろげる部屋(前編)

ほっとする、リラックスできる、落ち着く。クウネル世代にとって部屋は、くつろげることが大切です。それは、家族の形態が変わりひとり暮らしをするようになっても、実家を引き継ぎリフォームすることになっても、都心から自然豊かな地に暮らし替えをしても、そしてパリのアパルトマンでも。自分のスタイルとさまざまなストーリーを持つ16組のくつろげる部屋をお届けします。今回はパリで暮らすモデルのリズ=ロッテ・エルヴューさんのお部屋です。

後編はこちら

間取り

約80平米。廊下を挟んで左右に部屋がある使い勝手のいい家。長女が同じアパルトマンの違う階に暮らしている。

たくさんの本が、まるでオブジェのよう。

ビーダーマイヤー様式の肘掛け椅子がリズ=ロッテさんのお気に入りの場所である。ここで読書するのが至福の時間。

パリの左岸、国民議会をはじめ、フランスの政治や行政の中心地でもある閑静な7区。亡き夫と暮らしていたアパルトマンに、現在はひとりで暮らすリズ=ロッテ・エルヴューさん。

「1995年にこの部屋に引っ越して以来、部屋に手を加えないどころか、ほとんど家具の配置も変えていないんです。夫が建築家であったこともあり、本棚や暖炉はすべてオリジナルで作り、最初から暮らしやすい落ち着いた空間に仕上げられていたからなんです」

今は仕事部屋のペンキを白に塗り替え中とのことですが、そのほかは今後も手を加える予定はないそうです。リズ=ロッテさんも10年ほど、家具のギャラリーを経営して、インテリアにはかなりのこだわりを持つ人です。

「リビングルームの主役は、夫がデザインした大理石の暖炉です。アールデコ様式の直線的なラインがとても気に入っています。その両サイドの天井までの本棚も、彼のオリジナルです」

計算し尽くされたこの部屋に、最初に迎えいれた家具は、暖炉の前に置いたビーダーマイヤー様式の肘掛け椅子。そして同じ様式の優雅な脚の丸テーブル。

「軽やか、シンプル、そして優美な曲線の椅子は、豪華絢爛な貴族趣味でないところが私の好みなんです」

ダークなオークル系の色調でまとめたインテリアの中で、唯一のアクセントがカラフルな本の装丁。長年連れ添った夫が設計した暖炉の上も、アートと本を対称に飾ってアーティスティックに。

どんどん増え続ける本の置き場所に悩んだ結果、床に重ねて直置きをしたり、モロッコのお盆の上に重ねて置くという見せる収納法を思いついた。

PROFILE

リズ=ロッテ・エルヴュー/Lise=Lotte HERVIEU

コペンハーゲン生まれ。パリ、モスクワ、ニューヨークなどで暮らし、再びパリへ。フランス人の男性と結婚し、ギャラリーを10年間経営後、現在はシニアモデルに。

『クウネル』2024年7月号掲載 写真/篠 あゆみ、コーディネート/鈴木ひろこ、取材・文/今井 恵

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『クウネル』NO.127掲載

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