思い出が詰まった祖父の家を引き継いで。『PataPri』『Mon Souk』主宰・植村雅子さんのくつろげる部屋(後編)

ほっとする、リラックスできる、落ち着く。クウネル世代にとって部屋は、くつろげることが大切です。それは、家族の形態が変わりひとり暮らしをするようになっても、実家を引き継ぎリフォームすることになっても、都心から自然豊かな地に暮らし替えをしても、そしてパリのアパルトマンでも。自分のスタイルとさまざまなストーリーを持つ16組のくつろげる部屋をお届けします。今回は『PataPri』、『Mon Souk』主宰・植村雅子さんのお部屋です。

前編はこちら

間取り

家の広さは165平米。築年数は約70年。ベランダとその周囲には同様の広さの庭が。和洋折衷の間取りで和室もあり、その一部をシルクスクリーンの版など仕事道具の保管場所に。

季節を感じられる環境が、居心地のよさを増幅させて。

日中は冬でも暖房いらずの日当たりのいいアトリエ。カーテンの柄も〈PataPri〉のデザイン。都内から車で1時間の横須賀市秋谷エリアは今や人気別荘地。「こんなに近いのに海にはあまり行かないのですが、陽の光や天候によっても日々全然違うから、ここから眺めているだけでも面白いです」

一面野原だった場所に祖父が約70年前に建てた家は、植村さんにとって「思い出が詰まった家」だといいます。

「小さい頃から家族のなかでも私がいちばん頻繁に来ていた、とても愛着のある家でしたが、祖父母たちが住んだ後、空き家になりそうに。でも、私はあと1年で10年ビザが取得できる時で、まだフランスにいたかった。そんなときにアメリカから帰国した姉が、住居兼アトリエとして素敵に使ってくれて。『自分の好きなことしかしなかった』と言っていたので、彼女にとってもここで暮らせてよかったと思います。その10年ほどの間に私はマラケシュにも住めたし、夫にも出会えた。いろんなところに住んだけれど、今は、大好きだった祖父が建てたこの家に住むことができて嬉しいです。『無理ならモロッコに帰ろうね』というスタンスで決断して日本に来た夫も、ここを気に入ってくれて、ありがたいです」

カラフルな食器やモロッコから持ち帰ってきた食器を愛用。手彫りのトレーは若手木工作家・浦上陽介さんのもの。

天気のいい日はアトリエのテーブルでプリント作業を。第2・第3の金曜~月曜は、〈PataPri〉のオリジナルデザインを使ったシルクスクリーンのワークショップの開催と、オープンハウスでモロッコのハンドメイド雑貨の販売を行なっている(モロッコでの買い付け期間中はお休み)。

ダイニングテーブルは祖父母が使っていたものを引き継ぎ、椅子はファブリックを張り替えて。リビング&ダイニング、そしてアトリエまで間仕切りがない広い空間では、業務用のエアコンが大活躍。

夫と共に選んだ壁紙で大改装したトイレ。ドアに隠れている右側の壁はオレンジ色。マラケシュの街を彷彿するようなエキゾチックな色彩が楽しい空間に。「古い家の修繕や広い庭の手入れは、すべて夫が担当してくれるので、頼もしいです」

ご飯目当てに通ってくる地域猫との時間も楽しみのひとつ。「毎日会話するモンちゃんは、今では私のいちばんの友達です」。昔は強かったのでモンスターが名前の由来だそう。

PROFILE

植村雅子/うえむら・まさこ

シルクスクリーンでハンドプリントしたグッズの製作・販売をする〈PataPri〉と、モロッコのハンドメイド雑貨を販売する「Mon Souk」を主宰。Instagram:@patapri5413@monsouk5413

『クウネル』2024年7月号掲載 写真/加藤新作、取材・文/黒澤弥生

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『クウネル』NO.127掲載

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  • 発売日 : 2024年5月20日
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