【住まいと暮らしvol.49】北海道・東川の豊かな自然の中で、蜜ろうキャンドルづくりー古川敬美さん

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回のセキユリヲさんのバトンを受けてご登場いただくのは、蜜ろうのキャンドルをつくる「lämpö(ランプ)」の古川敬美さんです。

古川さんの暮らしのルール

1)五感を磨く
2)自然のリズムに沿った暮らし方を心がける
3)定期的に断捨離をする

若い頃は看護師をしていたという古川さん。人と関わることは好きだったそうですが、体調を崩すことが多かったそう。

「辛くなると自然を求めて屋久島に通ったり、アラスカに行ったり。自然の中に行くことでバランスを取り、自分自身を癒すことが必要でした」

そんな古川さんがキャンドルと出合ったのは、札幌で子育てをしていたときだったのだとか。

「息子の幼稚園で雪あかりを灯したとき、燃え残ったキャンドルを溶かし、新しくキャンドルを作ったのがきっかけ。そこから結婚式で使用した溶け残りのキャンドルをリメイクして、販売する活動をスタートしました」

ちょうどその頃起きた東日本大震災を機に、自分の核となるものを大事にして生きていきたいと決意。自然の中で暮らしたいという思いが強くなっていったといいます。

「導かれるように縁が繋がり、東川町に移住。そこで養蜂家さんと出会い、蜜ろうキャンドルの製作を始めました。みつばちの世界はとても奥深く、知れば知るほどおもしろい。みつばちの無駄のない循環に魅了されています」

越冬したみつばちの巣箱の掃除を手伝うところからスタートし、夏から秋にかけては原料となる蜜ろうの精製作業に追われ、需要の多い12月下旬まではイベント出店と、キャンドル作りは季節ごとにやることが多く、大変だと感じることも。

「それでも今の自然の中での暮らしが、とても気に入っています。豊かな自然の恵みを生活の中に取り入れながら、五感を開いて豊かに暮らしていきたいです。それをキャンドル作りに反映していけたらと思っています」

意外とたくさんの人が座れるという、おにぎり型のダイニングテーブルがお気に入り。「窓からの日差しが気持ちいいので、ごはんを食べるのも作業するのも、ここが定位置になっています」

部屋の真ん中を占めるのが、ダイニングキッチン。「キッチンが中心にあるおかげで、家族みんながキッチンに立つように。もともとはお菓子作りが好きだった娘と一緒に立てるように考えましたが、今では主人も料理の腕を上げています。キャンドル作りもここでしています」

色を統一しているというキッチンの棚には、好きなカゴや器などを飾っています。

天井まである窓。「白樺の木の根元からてっぺんまでが見えます。冬は葉っぱが落ちるので、太陽の日差しがたくさん入ってポカポカ。夏は葉っぱが生い茂るので、日差しよけになってくれます」

2年前に購入したというローズマリー。「越冬のために鉢上げして、冬は室内で育てています。冬でも緑があると癒されます。やっと観葉植物を枯らさないで、育てられるようになりました」

近所の木工房さんに作ってもらったという、美しい燭台。「何度も打ち合わせをして改良を重ね、納得のいく形に仕上げてもらいました。これからも身近な人たちと、身近にある素材で一緒にものづくりをできたらと思っています」

何かひとつ楽器が弾けるようになりたいと習ったウクレレ。「さりげなく飾っておくと、家族の誰かが弾いています。生活のなかに音楽があるっていいなと思います」

蜂の巣の精製作業は外での作業。「家の周りは、みつばちの蜜源であるシナやエンジュ、アカシアの木も生えています。春はカタクリの花が満開に。自然の中で暮らしたいと思ったのは、そんな暮らしを実践していた祖父母の影響です」

夏から秋にかけて、みつばちの活動が盛んに。「この時期は養蜂家さんから蜂の巣がどんどん届くので、何度も精製作業をします」

蜂の巣を濾して採れた蜜ろう。「これを二度、三度漉すと、きれいな蜜ろうになります」

できたての蜜ろうキャンドルは、鮮やかな黄色でつやつや。「自然の色とほんのり甘い香りに癒されています」

作ったキャンドルを入れている、ガラスのショーケース。キャンドルや季節の草花など、好きなものを飾って楽しんでいるそう。

古川さんが、運動不足解消のためにしているのがスキー。「スキー場が近くにあるので、できるだけ時間を作って、少しの時間でも通うようにしています。 冬は玄関がスキー仕様になります」

古川さんのお母さまが編んだ毛糸の帽子がたくさん。「手仕事の楽しさを教えてもらいました」

profile

古川敬美/ふるかわひろみ

北海道石狩市出身。2016年に東川町に移住し、蜜ろうキャンドル「lämpo」を主宰。イベントや委託での販売を中心に活動を行う。自然の循環を伝えるため、ワークショップなどの活動もしている。
Instagram@lampocandle

古川さんがバトンを渡すのは、雑貨店「Aujourd’hui(オージュルデュイ)」の店主、木下えりさん。「ご近所にあり、イベントで使う什器がたいがい揃ってしまうお店。センスが良く、相談すると的確にアドバイスをしてくれるので、本当に心強い。頼れる存在です」と古川さん。木下さんの暮らしは、2月中旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。

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