料理をしながら器作り。陶芸作家・つちやまりさんの“ながら仕事”がはかどる部屋とキッチン【後編】
作品が生み出されるクリエーターの住まいとは?今回は陶芸作家・つちやまりさんの創作の場であり、暮らしのベースにしている期間限定のご自宅に伺いました。
PROFILE
つちやまり
陶芸作家。神奈川県・葉山町生まれ。京都で陶芸を学び、25歳で開窯以来、各地の個展やグループ展などで作品を展示販売している。Instagram:@potterylove
ながら仕事ができて家族も創作ができる家
陶芸作家・つちやまりさんの工房を兼ねた自宅は、文京区の113㎡の3階建て。家主が長期出張のため、期間限定で借りているそうです。
「アトリエと自宅を別にするのが一般的だと思いますが、私の場合は“ながら仕事”。キッチンで牛肉のワイン煮を作りながら、その横で手びねりの茶碗を作るといった感じで、料理をしながら器作りもする方が、性に合っているんですね」と、キッチンも制作場所に。つちやさんの器の使い勝手がいいのは、そんな実生活の中から生まれるからなのでしょうか。
「もちろん自分の器をふだん使いするなかで、料理に合うサイズ感や形を発想することもありますが、例えば『朝ご飯のヨーグルトに使うのがほしい』というような、お客さんからの具体的な要望もヒントになります」
その作品にも自然モチーフを反映させている、自然志向なつちやさん。
「葉山や前の家では庭に草木が生い茂っていましたが、自然が身近にはない今の家では、少しでも自然を感じられるようにしたいです。子ども達と旅行したときに拾った石や珊瑚、鹿の角。そういう思い出のものを所々に置いたりして。だから、屋上も好きな場所です。植物の世話や、お風呂上がりにワインを片手に涼んだり、月を見たり、ヨガやストレッチをしたり……」
この家は家族みんなの創作活動の基地
「生まれたときから、家で器を作っている私を見て育った息子達は、家では創作活動をするのが当たり前と思っていて、学校へ行く前も、帰ってきてからもずっと、自室やダイニングでそれぞれの作業をしています」
高2の長男はマウンテンバイクを部品からカスタム制作。中1の次男は鉄道模型、美術学院にも通っているのでアート制作も。家族全員がもの作りをするつちや家では、ダイニングテーブルを囲んで、思い思いに作業をしながら、同じ時間を共有しています。
「家は、そんな家族みんなの基地です」
SHARE
この記事の
プレミアムメンバー
つちやまり
神奈川県葉山町で育ち、高校時代はカナダに留学。帰国し京都精華大学にて陶芸を学ぶ。横須賀市秋谷に築窯。その後長く葉山で活動し、2016年東京都文京区へ移転。年間6-8回の個展を20年以上開催している。
tsuchiyamari.com
Instagram:@potterylove
『クウネル』No.122掲載
やっぱり、家が好き!
- 発売日 : 2023年7月20日
- 価格 : 980円 (税込)