本に囲まれて暮らす読書好きな方々が、今年刊行された書籍の中で最も心に響いたおすすめの1冊をピックアップ。それぞれの作品の魅力を語っていただきました。今の時代を写しとった文芸作品から、生き方や想いに共感した本、学びのための本まで。新たな出合いのきっかけに、ぜひ手にとってみてください。
大草直子/おおくさなおこ
ファッションエディター
出版社で編集者として活躍したのち、フリーランスのスタイリストに。現在は「AMARC」(https://amarclife.com)の編集長を務める。
覚悟を決めて愛を選んだ生き方があまりに衝撃的
梨園の妻と世界的芸術家の、〝奇跡の恋〟を描いた林真理子さんの『奇跡』。私が惹かれたのは、その恋の物語だけではなく、覚悟を決めて、自分の人生を選びきれる女性が主人公だったからです。あまりの衝撃に、読後数日はぼーっとしていました。不思議なことに、その後、主人公の博子さんと仲良くなり、物語の深い部分を詳しく聞くことができたという〝奇跡〟も重なり、特別な1冊に。
同年代、近い環境で育ったジェーン・スーさんとは、さまざまな共通点が。ファンなら誰もが思うことかもしれませんが、「自分のことを書いている」と興奮してしまうはず。ルッキズムへの違和感と意識、ジェンダー問題へのナチュラルな嫌悪感は、思わずうんうん、とうなずいてしまいました。電車の中など、人が大勢いるのに集中できる場所で読むのもおすすめ!
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