在仏20年以上のツウがおすすめするフランスの美しい地方5選。今度の旅の目的地に!

マントン

パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARIS主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。いよいよ最終回となる今回は、桜井さんがお気に入りの旅先、フランスの地方の魅力を教えてくれました。

バカンスが過ぎ去った秋は、お気に入りの旅先に思いを馳せる季節

残暑という言葉が存在しないフランスでは9月に入るとあっという間に気温が下がり、気まぐれに25℃くらいまで上がる日があっても、もう日差しや風が真夏とはまったく違い、秋が来たことを実感します。学校では新年度スタートの月なので、子どもたちを見習って、この1年も頑張ろう!と気合を入れ直すべきなのですが、大人たちは終わってしまった夏が名残惜しくてなんとなくブルーになってしまいがちなタイミングでもあります。そんなとき、私はこれまでに出かけた旅の写真を眺めては心を慰めます。

というわけで今回は、お気に入りの地方をいくつか、写真と共にご紹介したいと思います。

1_青い海と空がまぶしい南仏コート・ダジュール

トリコロルパリ 桜井直子さんおすすめのモナコ

ニースとモナコの間の断崖にあり、鷲の巣村と呼ばれるエズ村。熱帯植物園からは息を呑む絶景が見られる。

パリから訪れて最も気分が変わる場所といえば、やはり南仏のコート・ダジュールでしょう。特に、パリで暗くて寒い日が続く晩秋から冬にかけては、日差しや人々の装いがまるで別の国のように感じられます。ニース、アンティーブ、サン・トロペ、カンヌ、モナコといった街々をめぐるのはもちろん、国境を越えてイタリアまで足を延ばすこともできます。

トリコロルパリ 桜井直子さんおすすめのマントン

イタリア国境まですぐのマントン。いかにも南仏らしい暖色の建物が立ち並ぶ旧市街がとても美しい。

2_独自の食文化も魅力の南西部・バスク地方

トリコロルパリ 桜井直子さんおすすめのバイヨンヌ

バスク地方最大の都市、バイヨンヌ。川沿いに立ち並ぶバスク建築の家がとても美しい。

同じ南部でもコート・ダジュールとはまったく異なる雰囲気を楽しめるのが、南西部のバスク地方です。代表的な都市バイヨンヌ、ビアリッツ、サン・ジャン・ド・リュズはそれぞれ個性的。バスク語という独自の言語、プロットという伝統的なスポーツがあり、ピペラード(パプリカ・トマト・卵の煮込み)やアショア(仔牛・パプリカ・唐辛子の煮込み)など食文化も独特。スペインと国境を接していて、スペイン・バスクの中心都市サン・セバスチャンもすぐそばです。

トリコロルパリ 桜井直子さんおすすめのエスプレット村

バスク名物のエスプレット唐辛子の産地、エスプレット村。こちらも赤い木組みの家々が可愛い。

3_雄大な景色が広がるピレネー山脈

トリコロルパリ 桜井直子さんおすすめのピック・デュ・ミディ・ドゥ・ビゴール

ピック・デュ・ミディ・ドゥ・ビゴールはピレネー山脈にある標高2877mの山。空気がとても澄んでいて、ロープウェーでアクセスできる山頂には天文台もある。

フランスで山歩きを楽しむといえばアルプスを思い浮かべる方が多いと思いますが、スペインとの国境にまたがるピレネー山脈も素晴らしい景色を楽しめるおすすめの場所です。

トリコロルパリ 桜井直子さんおすすめのガヴァルニー圏谷

ユネスコ世界遺産にも指定されているガヴァルニー圏谷。氷河の侵食で生まれた地形で、滝のすぐそばまで歩いて行ける。

4_3000もの古城が集まるロワール地方

トリコロルパリ 桜井直子さんおすすめのロワールの古城

ロワールの古城で最大のお城、シャンボール城はルネサンス建築の最高傑作の1つと言われる。一度もすれ違わずに同時に2人が上り下りができる、二重の螺旋階段も有名。

学生時代に留学していたので個人的にも思い入れがあるのは古城で有名なロワール地方。ロワール川の流域には大小合わせて3000近いお城があると言われています。

トリコロルパリ 桜井直子さんおすすめのサン・ガシアン大聖堂

古城めぐりの拠点としても便利な町トゥール。サン・ガシアン大聖堂はゴシック様式のファサードがとても美しい。

5_パリっ子たちに愛されるリゾート地・ノルマンディ

トリコロルパリ 桜井直子さんおすすめのドーヴィルノビーチ

クロード・ルルーシュの映画『男と女』の舞台にもなったドーヴィルのビーチは、カラフルなパラソルが特徴的。南仏のビーチとはまた違う、落ち着いた雰囲気が素敵。

19世紀後半から、パリジャン・パリジェンヌたちに愛されるリゾート地といえばノルマンディ地方。広々とした砂浜のビーチがあって、海の幸、バターやチーズなどの乳製品など名産も多く、まさにバカンスにぴったりの場所。なかでも高級ホテルやカジノ、豪華な別荘が立ち並ぶドーヴィルは、パリから電車で2時間ちょっとというアクセスの良さもあって人気です。

トリコロルパリ 桜井直子さんおすすめのノルマンディ

高級リゾート地、ドーヴィルを象徴するのが1912年創業のホテル・ノルマンディ。この地方の典型的な建築様式の建物がとても美しい。

トリコロル・パリとしてフランスのガイドブックを作るようになって20年(!)近くになりますが、「フランスの」とは言ってもやはり、「パリの」ガイドブックがメインです。

面積だけ見れば本当に小さな街なのに、ここまで語れる場所やものがあるパリは確かに別格の存在ですが、パリ以外にも、各所に美しい風景や街並み、それぞれ個性的な雰囲気があり、地方も訪れて初めて、フランスという国の豊かさを本当の意味で知ることができるのだと思います。いつかはパリ以外の地方都市をじっくり紹介するガイドブックも作ってみたいものです。

3年以上にわたり続けさせていただいたこの連載は、今回でいったん終了しますが、またきっとどこかでお会いできるはず…!それまでみなさん、お元気で。A très bientôt !

写真・文/桜井道子

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トリコロル・パリ

トリコロル・パリ

荻野雅代さんと桜井道子さんのユニット。パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISを主宰。最新ニュースやカルチャー、旅行・観光情報をはじめ、さまざまな情報を発信している。初のエッセイ『フランスの小さくて温かな暮らし365日~大切なことに気づかせてくれる日々のヒント』(自由国民社)は6万5000部のヒットに。
https://tricolorparis.com/

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