北海道は「パン、乳製品、コーヒーがおいしいんです」。運河の街・小樽で新旧喫茶店をめぐる【大人のニッポン観光】

ギュッと固くなった大人の頭と心をほぐすには、やっぱり美味しいもの。香り豊かなコーヒーと丁寧に手作りされたスイーツがあれば効果テキメン!最近増えているという、小樽の喫茶店やカフェにスポットを当ててみました。
味も人柄も個性豊かな、小樽の新旧喫茶店。
屋外アートを楽しんだら、札幌から北西約30kmに位置する港町小樽に足を延ばすのもよし。1900年代初頭には、金融・貿易・漁業・商業の中心地として発展してきた小樽。歴史的建造物が多数建ち並び、散策も人気で世界中から多くの人が集います。
最近では、喫茶店やカフェが増えているという話も。札幌市出身でブランディングディレクターとして活躍する福田春美さんは、「北海道は開拓者の土地です。あの有名なクラーク博士の影響もあったのでしょう。パン、乳製品、コーヒーがおいしいんです」。

『喫茶室ラブラド・レッセンス』の甘じょっぱい味が癖になる、自家製マヨネーズのチーズトースト(ドリンクとセットで1,300円)。
帰省するたびに福田さんも足を運ぶというお店をはじめ、個性的でこだわりを持つ新旧喫茶店を3軒訪ねました。
spot1/yukimichi 器と暮らしのもの、喫茶

森が見える席、海が眺められる席など好きな景色を選んで過ごせる2Fカフェ。作家の器で手作りの軽食を。深煎りのコーヒー(600円)と月替わりのお菓子、オレンジとヘーゼルナッツのクリームタルト(680円)。
周囲を山と海に囲まれた『yukimichi 器と暮らしのもの、喫茶』には、市内外からこちらを目掛けて連日大勢のファンが訪れます。店主の五十嵐有紀さんがセレクトした手仕事の器が並び、スタッフが作る旬のお菓子も味わえます。

緑に囲まれた建物の向かって左側が店舗で、右側は 夫・隆行さん指導の合気道道場。

有紀さんが実際に使い、本当に良いと思ったものが並ぶ1Fギャラリー。
yukimichi 器と暮らしのもの、喫茶
店主・五十嵐有紀さんが「ここの景観の美しさに惚れて」と、実家の畑だった場所に建てた喫茶&ギャラリー。「器は服のように試着できません。だから、まずは器を実際に触れて使っていただきたい。そう思い、2Fの喫茶では取り扱っている器で、コーヒーや季節のお菓子をお出ししています」。客人の雰囲気を見ながら、有紀さんがその方に合うカップやお皿を選ぶことも。札幌から小樽方面へ車で30〜40分、わざわざ訪れたい一軒です。
住:小樽市張碓町560-24
電:0134-55-5886
営:11:00-17:00
休:水曜・木曜・金曜
公式Instagram
spot2/アイスクリームパーラー美園

できたての柔らかなアイスクリームと、一晩寝かせてコクを増したアイスクリームの2つが味わえるハーフアンドハーフ(700円)は創業100周年を記念したメニュー。コーヒー(600円)といっしょに。
そして、小樽都通り商店街の顔ともいえる創業106年の『アイスクリームパーラー美園』は、北海道で初めてアイスクリームを提供した老舗。おしゃべり好きの三代目ご主人漆谷匡俊さんのアイスクリーム話は、旅ならではの思い出に。

「添加物なんてもってのほか。新鮮で良質な材料で手作りです」と三代目の漆谷匡俊さん。

持ち帰りや地方発送用も。愛らしいデザインにも心惹かれる大正浪漫アイス最中(250円)、大正浪漫アイスクリームカップ(350円)、小樽運河アイスクリームカップ(300円)。
アイスクリームパーラー美園
JR小樽駅から徒歩3分、小樽都通り商店街の一角にある北海道で初めてアイスクリームを製造、販売したパーラー。赤い絨毯に花柄座面の椅子など、創業当時を彷彿とさせるレトロな装いで客人を迎えます。外国航路船のコ ック長から教わったという初代の味を受け継ぐ、あっさりとしたアイスクリームは、懐かしさも感じるおいしさ。
住:小樽市稲穂2-12-15-2F
電:0134-22-9043
営:11:30-17:00
休:火曜・水曜
公式サイト
spot3/喫茶室ラブラド・レッセンス

カラメルにコーヒーを忍ばせ、しっかりした苦味で甘みを引き立てた弾力ある手作りのクラシックプリン(ドリンクとセットで1,250円)を襖や床の間が趣深い2Fの座敷で。夕暮れ時、窓から差し込む西陽も一興。
3軒目は古民家を引き継ぎ、上田龍さんが2021年に開店した『喫茶室ラブラド・レッセンス』。若い世代が文化を継承し、そこで新しいものを生み出すという流れは北海道の開拓者精神そのものです。

のれんが目印の建物は、築65年の元おそば屋。

「調理も給仕もすべて1人だから時々テンパることも(笑)。自分が心地よく感じる空間でこれからも続けたい」と上田龍さん。
喫茶室ラブラド・レッセンス
店主・上田龍さんがある漫画の描写に惹かれ、「いつか喫茶店を開く!」と決心したのは小学生の頃。その夢は2021年にかないます。小樽の閑静な奥沢エリアに、2階建ての古民家喫茶を開店。1Fは土間、2Fは和室。読書好きの上田さん私物の本や漫画が200冊以上置かれ、客人は自由に手に取り、静かで贅沢な1人時間を過ごします。
住:小樽市奥沢2-10-1
電:0134-26-6708
営:10:00-19: 00
休:木曜・第3水曜
公式Instagram
写真 伊藤徹也、取材・文 遊馬里江、河田実紀