「冷凍食品を使うのは手抜き」なんてノン!フランス人の合理的な冷凍食品の活用方法
料理上手な2人が冷凍食品を気安く扱いこなすのを拝見!今回は、日本茶専門店『おちゃらか』店主のステファン・ダントンさんに、冷凍食品テクニックを店のまかないの例で披露していただきました。
前編は調理時間はたった15分!合理的に冷凍食品を扱いこなすフランス人のお手軽定番料理記事になります。
目 次
近所で買う日本の冷凍食品でまかないをクイックに!
「料理は構築力、組立て方に尽きます。フランス人だからではないと思うけれど日本人より僕は料理を数学的に考えるのかもしれない。おいしいできあがりが重要で、冷凍食品でもなんでも1パーツだと考えています」
ダントンさんの冷凍食品テクニックを店のまかないの例で披露してもらいます。
「最近の日本、料理として仕上がった冷凍食品は充実してきましたね。近くの小さなスーパーでパスタ製品が目についたから、これをベースにうち流で風味を強め野菜を強化してと……」
一緒に買ったエビ、ブロッコリーの冷凍品で同時進行、サイドメニューも完成。
日本メーカーの冷凍素材で「ブロッコリーとエビのマリネ」
ブロッコリーとエビは「今日の事情では生より便利と判断した」冷凍食品を調達。ダントン式は袋ごと流水で解凍。パスタづくりで最初に風味をつけたオイルを少し分けておき、エビ、ブロッコリーを熱を加えながら合わせる。レモンをたっぷり搾り、タイムを加え風味を整えて。
日本メーカーの冷凍パスタ製品で「ニンニクを利かせたパスタ」
冷凍パスタはペペロンチーノやカルボナーラの具がシンプルなものを。フライパンにニンニクスライスと赤唐辛子の輪切りをオリーブオイルで熱して、なすのスライスを入れ焼き目をつけ取り出す。フライパンでベーコンを炒め、解凍したパスタを入れ混ぜ合わせなすをトップに。
力が抜けていて自由、フランス人と冷凍食品の関係。
フランスで友人宅の冷蔵庫を開けたら冷凍食品で満杯だった、とか。また都市部の働く女性には、冷凍食品専門ショップのピカールで完成した料理の製品を買い、温めて出すだけの人も多いとか。フランス人と冷凍食品の逸話を耳にします。
「誇張された話と言い切れないかも?日本と比べると種類が豊富なのもあり冷凍食品を使う人はけっこう多いですね。前菜からデザートまで料理の形でも、野菜などの素材、半調理のもの……。また日本の人は冷凍食品を使うのは手抜きと考えて罪悪感を覚える場合があるけれど、フランス人にはそれは不思議。たんに便利だから使うのだと思いますよ」とシェフのファニー・フェルナンデスさん。
「働くフランス女性が冷凍食品を利用する率は、高いと思います。私もそうだけれど、ふだん料理に長い時間をかけている人はあまりいないのでは?冷凍食品は要所要所で気軽に使っているはず」というのは、カミーユ・シアルさん。日本在住のフランス人たちは環境に合わせ、合理性のもと料理をしているようです。
「料理はインスピレーション。日本の冷凍食品は物足りないところもあるけど、冷凍でない食材と上手なキャスティングでミックスして自分流にアレンジするのが面白い!」(ステファン・ダントンさん)
PROFILE
ステファン・ダントン/Stéphane Danton
日本茶専門店『おちゃらか』店主。美食の町、リヨンの出身で1992年に来日。日本茶に魅せられ2005年に日本茶専門店『おちゃらか』を開業。お茶にフレーバーを加える新しい発想で注目される。現在の店舗は人形町に。
カミーユ・シアル/Camille Sciard
『BERNARDAUD』 マーケティング&デジタルマネージャー。5年前に来日、都内にてフランス人の夫、2人の子どもと暮らす。1863年に創業、格調と芸術性の高さでリモージュを代表する磁器ブランドである『ベルナルド』の日本支社に勤務。家で使っている食器はすべて同社の製品だそう。
『クウネル』2024年9月号掲載 写真/目黒智子、徳永 彩、取材・文/原 千香子
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