フレンチファッションの王道・ベレー帽を偏愛!イラストレーター・石川三千花さんの3つのコーディネート
フランス発のおしゃれアイテム、ベレー帽。歴史的には羊飼いたちの日よけ帽だったそう。でもフレンチファッションのスパイスとして愛されるかわいいヤツなのです。長年、ベレー帽のおしゃれを楽しんでいるイラストレーター・石川三千花さんに「こなし」の極意を伺いました。
さりげなく、自然に楽しむのがフランス流ね。
ベレー帽の似合う人といえば石川三千花さん。友人のコラムニスト・中野翠さん、イラストレーターの上田三根子さんと揃ってベレー好き。
「これぞ、おフランス!」と選んでくれたボーダーのシャツ、『エルメス』のカレに愛する黒ベレー。ベレー帽はトレンチコートと好相性です。
「3人で遊びに出かけたときに、全員ベレー帽じゃかっこ悪いから、バッティングしたら、今日はあなたに〝ベレー権〟を譲るわ、なんてことも。『アニエスベー』のボーダーシャツ、デニム、ローファーにベレー帽を合わせて繰り出していました」
セツ・モードセミナーを卒業後の’70年代、3年と少しパリに暮らした石川さん。フランス人のファッションをたっぷり観察、かの地のおしゃれの極意を知りました。
「フランス人にとって、キメキメのおしゃれは恥ずかしい。無造作で気張りすぎないのがいいのよ。市場で働く八百屋のオジさんのベレー帽のように、さりげなく、なじんでいるのが格好いいです」
ヘアをすべてインしてかぶると、ややスポーティな感じに。『プラダ』のジャケットの変則的な衿のグレーとベレー帽の色を合わせて。
石川さんのベレー帽コレクション。ベーシックな色にレッドやパープルの差し色のベレー帽も。「ベレー帽はサングラスとの相性がいいのよ」
石川さんがかぶっている黒のベレー帽はまさにそんなアイテム。1970年代にパリのデパートで買ったノーブランドのものだけれど、大きさ、素材、形、すべてが「奇跡的にぴったり」。
同じ愛用品を12年前も。すべてがぴったりの、このベレー帽、50年近く着用のセルフヴィンテージ。上写真は12年前に訪れたLAで。くるっと外はねした毛先とのバランスがいい。
「これは死んだら棺桶に入れてほしいくらい大事にしているの」
いろいろなスタイルで見せてくれる大人のベレーファッション、長年愛し続けてきた人のかもす雰囲気が、さすがのこなれ感なのです。
PROFILE
石川三千花(いしかわ・みちか)
イラストレーター・エッセイスト
ポップで明るい画風で知られるイラストレーター。エッセイストとしても、長年、雑誌やWEBサイトで活躍中。ベレー帽に最初に憧れたのは、実はアメリカ映画の『俺たちに明日はない』で見たフェイ・ダナウェイのベレー帽ファッションなのだそう。
写真/目黒智子、取材・文/船山直子