80歳のおしゃれテクニック。白シャツの着こなし応用、襟出しでワンポイントを利かせればレフ板効果も
元『装苑』編集長の德田民子さんが、はじめてのエッセイ本『80歳、私らしいシンプルライフ』（幻冬舎）を上梓しました。東京から長野県安曇野に夫婦で移住して16年。はっきりとした四季の中で、自然と共生しながら工夫を楽しむ、德田さんのシンプルな暮らしぶりが綴られています。
その中から、おしゃれについて一部抜粋してお届けします。今回は、『80歳の素敵なおしゃれ。「丈の短いカーディガンは、全身のバランスをよく見せてくれるマジックアイテム」』に続く、連載最終回です。
笑顔に似合う白い襟。
華やぎ、愛らしさ、明るさを 演出できる白襟見せは
コーディネートのワンポイント
ボーダーTシャツが永遠のマイスタンダードとお話ししましたが、白シャツもしかり。白シャツとボーダーTシャツは私の２大定番アイテムと断言します。白シャツにも不思議な力がある、そう思うんです。まずは一枚で。シャツの袖に腕を通して、鏡に向かう瞬間。どんなときでも、私は元気でイキイキとした気持ちになれます。
若い頃は、白シャツといえば、ジャケットの下にきちんと着るものと思っていました。でも、年齢を重ね、暮らす場所も変わった今では、もっと自分流に着崩す楽しみを見つけました。
白シャツには華やかさや清潔感があります。どこにでも着ていけるきちんと感もあります。一枚でさらっとデニムに合わせて着こなすのもこなれて素敵ですが、私のおすすめは襟出しでワンポイントを利かせた着こなし方。角のある白襟はきちんとした華やぎを、丸襟なら愛らしさを与えてくれます。しかも、レフ板効果で肌も明るく見せてくれます。
ニットから丸い白襟をのぞかせて。「白襟は明るく元気でいたい気分にフィットするので大好き」
重ね着でもよし、一枚で着てもよしの白シャツ。季節を問わず、流行にも左右されないスタンダードなものだからこそ、幅広いスタイルが楽しめるのです。また、ハリのあるシャキッとした素材か、ガーゼのようにソフトな素材か。ゆったりか、ぴったりか。こうした素材やサイズ感の違いで、印象も大きく変わります。最もベーシックな定番服ですが、可能性は無限大。奥が深いんです。
また、着こなしにもコツが。例えば、一枚で着るときは、第一ボタンをはずして、襟元を無造作に開けるのが私流です。袖もまくってラフに仕上げます。こうすることで、しっくり体に馴染みます。
安曇野に来てから、白シャツはザブザブ洗ってノーアイロンで着ることが増えました。よく晴れた日の朝、洗いざらしの白いシャツを着て、ウッドデッキに出て鳥のさえずりに耳を澄ます。そんな一日の始まりがあれば、終日ごきげんでいられます。また、白シャツはそうした何気ないけど幸せな日常に似合うアイテムだと思います。
そして、これからも着こなしの答えを決めつけず、あれこれ試して、まだまだ自分流の着こなしをアップデートしていかなくっちゃと思っています。今までのスタンダードな着こなしにとらわれず、自分らしい新しい着こなしが発見できれば大成功。おしゃれの扉は無限に開かれていくと思います。
「毎日着る服をどう私らしく着こなそう。シンプルでベーシックな服をおしゃれに着こなす工夫は無限大です」（本書、第３章「おしゃれこそ元気の素」より）
PROFILE
德田民子
1945年生まれ。文化服装学院デザイン科卒業。文化出版局で『装苑』『ミセスのスタイルブック』などファッション誌の編集長を務める。退職後、広告関係のディレクターをしていた夫とともに長野県安曇野市に移住。現在はフリーのファッションコーディネーターとして、雑誌の監修やイベントでの登壇などでマイペースに活躍中。著書に『別冊天然生活 德田民子さんのおしゃれと暮らし』（扶桑社）など。
第二の人生をシンプルに自分らしく。『装苑』元編集長による初のエッセイ、好評発売中
80歳、私らしいシンプルライフ
移住のきっかけは、夫婦で訪れたドライブで眼前に広がる美しい北アルプスの風景だった——。たくさんのものを手放し、暮らしをリセットする中で気づいたのは“シンプルって、心地いい”ということ。 移住から16年。四季のはっきりした安曇野での暮らしやおしゃれの工夫、毎日をごきげんに過ごす秘訣など、80歳を迎えた元『装苑』編集長・徳田民子さんの心豊かな日々が綴られた一冊。
『80歳、私らしいシンプルライフ』（幻冬舎）1,650円
撮影／松村隆史
