作家・甘糟りり子さんのおしゃれ試行錯誤。きちんと見えて、着やせ効果もアリ!夏の「羽織もの」一軍にジャケット

作家の甘糟りり子さんのおしゃれと美容にまつわるエッセイ。還暦を過ぎて、「おしゃれすること」に改めて向き合っている甘糟さん。今年の夏、思いのほか活躍しているというジャケットについて綴ってくださいました。
夏の羽織もの一軍に加わったジャケット
今年は麻のジャケットをよく着ています。
鎌倉暮らしですっかり「ド」がつくカジュアル化した私は、夏の羽織ものといったら、カーディガンかパーカ(今風にいうところのフーディーですかね。美食好きの方ではなくて)ばかりだったのですが、それをジャケットに変えるだけで格好がつきやすいことに今更ながら気がつきました。ほんと、いい年して今更だけど。
それもこれも、今年の初め頃に出会ったtbの展示会で出会った一枚のジャケットのおかげです。

ワインバー「霹靂」に行った時もジャケットを羽織っていきました。この形この色、何にでも合うので重宝しています。
ノーカラーのシングル、ひとつボタン。素材は麻で、裏地はなし。色に一目惚れしちゃったんです。ダークグレーなんですが、多分、気が付かないぐらい紫がかっていると思います。それぐらい微妙な発色なんです。グレー好きは以前もここで書きましたが、グレーって本当にちょっとした加減でいろんな表情のある色だと思います。
肩幅広め、胸板厚めの私でも、ぱつんぱつんにならずに着られるシルエットだったので、夏にジャケットなんて着る機会あんまりないかもなあと思いながらも、買っちゃいました。せっかく気に入った色だったから、パンツとベストも購入。さすがに三揃では着ませんけどね。
ジャケットとパンツのセットで着ていたら、友達に「刑事ドラマの衣装みたい」といわれちゃいました。威圧感があるそうです。胸元がVに開いたインナーを着ていたんですけどね。んー。逆にそれが威圧感につながったのか? まだまだ着こなしを研究する必要がありそうです。
ジャケットを着ると自分にスイッチが入ります
今までのTシャツにジャージ素材のボトムス、足元はスニーカーかサンダルという組み合わせでも、これ一枚羽織ると、それなりの「きちんと感」が出るので、思いのほか便利です。暑くなるとほとんど東京にはいかず、海のそばで暮らしておりますが、それでもTシャツとジャージでは済まない場面はありますしね。
必要に迫られて、というより、ジャケットを着ることで、ふだんのゆるゆるした自分とは別のスイッチが入れられるのも新鮮でした。って、どんだけリラックスした暮らしなんだって感じですが。笑 ドレスを着た時の高揚とはまた別の緊張感。それもまた「着ること」の楽しさです。
それにね、ジャケットは体型カバーにもなることに気がつきました。還暦過ぎた身としては、これ大きなポイントかも。
もう一着、最近よく羽織るのが、白い麻のジャケット。こちらは襟あり、ダブル。一昨年、ZARAのセールで買いました。
おしゃれ仲間として一緒にクウネルに出たこともある馬衣真さんが、会食の際に羽織っていたのを真似しちゃいました。その時のレストランがけっこう冷房が効いていて、ノースリーブで腕をさすっている私の隣で、衣真さんが白いジャケットを袖に腕を通さずにさっと羽織ったんです。これならいちいち脱いだり着たりせずにすみますもんね。エレガントでした。

北鎌倉の「てんぷら てらおか」さんで。ジャケット一枚で、リラックスしながらもきちんとした印象を保てます。
私がそれを伝えたら、ZARAで買ったと教えてくれました。
ZARAなら白の麻でも気軽に着られます。早速、ググるとセールになっていて、もちろん即決。これはいい買い物でした。夏物の服ならたいてい白は合いますから。ダブルなので、袖を通して着てしまうと迫力が出過ぎますので、私は袖通さずに使うことが多いです。一度、手持ちの白い麻のパンツとセットで着てみたら、母に「石原裕次郎かと思った」っていわれちゃいました。威圧感の次は昭和感かあ。麻のセットアップってむずかしいなあ。

鎌倉大街に新しくできたギャラリーにオープンニングで。アクセサリー代わりに。
とはいえ、こちらの白ジャケットも単体なら本当に使い勝手がいいんですよ。夏になるとTシャツ素材のワンピースばかり着てしまいますが、白い麻ジャケットを手にしているだけでも印象が変わります。アクセサリーみたいな感覚で使っております。
ジャケットに限らず、麻は大好きな素材。使い込んで、くたっとしてきた頃合いが粋だと思います。もっともっと着込まなくちゃ!
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甘糟りり子
1964年生まれ。幼少より草花に囲まれた鎌倉の家に暮らす。『産まなくても、産めなくても』、『産む、産まない、産めない』(ともに講談社文庫)など、出産にまつわる物語が多くの女性の支持を得ている。『鎌倉の家』(河出書房新社)や『鎌倉だから、おいしい。』(集英社)などでは、鎌倉での暮らしの魅力と愛情を綴っている。その他著書として『バブル、盆に返らず』(光文社)も。
Instagram:@ririkong