おしゃれプロ2人からの提言/前編。ファッションは生ものだからお刺身と一緒。いいものはずっと着られる幻想は捨てて

同じような服を着ていても、素敵に見えないのはなぜ?ファッションのプロの視点で、おしゃれ迷子のアウトな行動や着こなし上手になるヒントをモデルの黒田知永子さんと、スタイリストの地引幾子さんに語っていただきました。

黒田知永子/くろだ・ちえこ
モデル
大学時代に『JJ』でデビュー、数々の女性誌でカバーモデルを務め、幅広い世代から支持を集める。Instagram:@kuroda_chieko

地曳いく子/じびき・いくこ
スタイリスト
おしゃれの悩みをズバッと斬る愛ある毒舌が人気。近著に『ババアはツラいよ!番外編 地曳いく子のお悩み相談室 2』(集英社)。
クウネル世代はおしゃれの迷走ジェネレーション!

私は一般の方に着こなしをアドバイスすることも多いのですが、大人世代はおしゃれに迷っている人がとにかく多いの。昔、似合っていた服が似合わなくなり、何をどう着ていいのか、わからなくなってしまう、と。

体型も昔とは変わったのに、おしゃれは変わり損ねてしまうというか、自分の変化と時代の変化に乗り遅れてしまう。

そう、まさに浦島太郎状態。若い頃の感覚のままがんばった若作りは、逆に老け見え!昔の自分にしがみついていてはダメなんですよ。今のファッションは昔とは全くバランス感が違う、ということをまず認識してほしいです。昔の服は全部処分するくらいの意識で。

着ない服を後生大事にとっておく
似合わない服、時代にフィットしない服が大量に……。「先の短い大人にいつか着られる日はこない」(地曳さん)

私は長く着ている服もたくさんあるけれど……。

クウネルにはセルフヴィンテージとかで古いものを素敵に着こなしている人が登場しますが、センスがいい人のヴィンテージは計算して選び抜かれたものだから。
昔のコートを出してただ着ただけ、とはわけが違うんですよ。バブル時代を過ごしてきた世代はハイブランドの服にも慣れているけれど、ファッションは生ものだから、お刺身と一緒で早く食べたほうがいいわけで、いいものはずっと着られる幻想は、捨てたほうがいい。
もう自分自身がヴィンテージなんだから、アップデートしないと。

実際、私も体重は変わっていなくても体は確実にゆるんでいます。昔の細身のジャケットとかは袖ぐりがきつくて着られないし、最近、スリムパンツを試しに着てみたら、太もものすき間が目立って恐ろしいことに……!

脚が細い人は、昔のロック歌手みたいになりがちよね。

美脚デニムも意外と落とし穴。生地が伸びて体にフィットするから肉を全部拾っちゃう。

美脚パンツでスタイルアップを狙う
「体の線が出やすく、横ジワが入ったりするとカッコ悪く見えるので、選ぶ際は後ろ姿もチェックを」(黒田さん)

スーパーの詰め放題のビニール袋と同じ理屈よね。今はオーバーサイズをゆるっと着るほうがおしゃれに見えるし、トレンドのワイドパンツもお腹やお尻がカバーできるから、スタイルよく見える。そういう攻めの姿勢で流行を取り入れていくといいと思います。

あと案外みなさんは、小さいサイズがお好きなんですよ。コンパクトに見えるほうがいいと思うのかしら?

サイズなんて誰も気にしないのに。確かにビッグシルエットの服はワンサイズ下げても入るけど、せっかくのシルエットの良さがなくなってしまう。

昔のこだわりを捨てられない
20代と同じ感覚で若作りコーデに。「体型が変わらない人のほうが過去の栄光にしがみつく傾向が」(地曳さん)

むしろ、どんなに痩せている人でも、大人はワンサイズ上げたほうが体型問題も解決できて、きれいに見えるんじゃないかな。

私も同感。サイズ選択はおしゃれに見えるかそうでないかのポイントです。
『クウネル』3月号掲載 写真/加藤新作、ヘア&メイク/福沢京子(黒田さん)、イラスト/関 美希奈、取材・文/矢沢美香
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『クウネル』NO.131掲載
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