50代エディターが「素敵な身だしなみ」と思えるアイテムTOP3とは?【メロウライフ】

エディターの山村光春さんと、エッセイストの広瀬裕子さんによる往復連載。
「60代以降に使われる『シニア』という呼び方がどうもしっくりこない」という2人が、「私たちらしい人生の後半戦」について模索します。シニアでもなく、シルバーでもなく……。だったら「メロウライフ」なんていかがでしょう?
今回は「身だしなみ」がテーマ。山村さんが考える「素敵な身だしなみ」と思えるアイテムTOP3は?
▼広瀬裕子さんの記事
歌舞伎座で見かけた粋な女性、着こなし以上に美しい姿勢が素敵さの理由?
人の印象を決定づける「身だしなみ」
仕事柄、取材先のプレスや広報などといった、初対面の女性と出会うことが多い。「はじめまして」なんて言いあいながらニコリと笑み交わし、名刺交換なんてしている間、さりげなく(だけどしかと)見てしまうのは、その人の身だしなみだ。これが美しく整えられていると「この人はできる人だな」なんて、あっけなく信頼を寄せる、だけでなく。そこはかとない色気さえも感じる。しかもマチュア世代にはことさら、ハッとしてグッとくる人が多い。
じゃあ、とあなたは言うかもしれない。美しい身だしなみとは、いったい何なのかと。僕が思うに、それは「性格と生活が想像できること」だと思う。身につけているものや身のまわりのものから、後ろ側にある「ちゃんとしてる」感が滲み出るのだ。
ってことで、僕の独断と偏見による、美しい身だしなみを感じるアイテム、ベスト3を発表しようと思う。

裁縫は得意ではないけれど好き、破けたところを繕ったり、ワッペンをつけてカスタムしたり。
素敵な身だしなみ、そう思わせてくれるアイテムTOP3
\第3位/
ウールのコート
近ごろはダウンの流行や、新素材があれこれ出てきていることもあり、冬のアウターも薄く軽く暖かく、値段も手頃なものが全盛。そんな中、あえてのウールのコートをちゃんと着こなしている人に出会うと、素敵!と、つい目で追ってしまう。しかもそれがシワひとつなく、なめらかさも感じられるとくれば「しっかりお手入れもしてるんだろうな」とか「家のクローゼットもぎゅうぎゅうではなく、すっきりしてるんだろうな」と、(見てもないのに)あれこれ思いが膨らんでしまう。ちなみに色は、キャメルが個人的には好み(聞いてない)。

「EEL」のウールのダッフルコート。ずいぶん前に買ったのだけど、いいものはやはりへたらない。
\第2位/
極細チェーンのネックレス
まずネックレスという存在そのものが、身だしなみ度が高い。胸元にきらりと上品な光が宿っていると、顔の表情とセットで、てきめんに印象が残る。また女性が化粧をした後、最後の仕上げとしてネックレスを付けている姿を想像すると、なんだかカッコいいなと思う。しかもそれが極細チェーンだと、なおいい。動くたび、さらりと肌を滑る様子もさることながら「この人はきっと外したあともチェーンを絡ませることなく、きちんとケースに入れて保管してるんだろうなぁ」と、勝手に収納事情まで想像してしまう僕はキモいだろうか。
\第1位/
シャツ
あくまではブラウスではなく、シャツのほう。「きちんと見せる」という意味では定番アイテムだけど、女性にとってシャツの着こなしというのは、意外と難しいんじゃないかと思う。ボタンひとつとってもそう。上まで留めてきちんとしすぎると、どうしても制服感や就活感が出てしまうし、逆に開けすぎるとだらしなくなるのと紙一重。それだけに、ボタンの開けぐあいや襟の立ちぐあい、素材感やサイズ感など、すべてが奇跡的にバランスよく、品よく着こなす女性を見ると「身だしなみ選手権、優勝!」と叫びたくなる。とくに男性にとってシャツは身近なアイテムなので、どうしたって見る目が厳しくなるのかもしれない。

ある日「クリーニングを厭わないのが大人の身だしなみ」と気づいてからプレスしたシャツを着るように。「COS」のシャツは細身でお気に入り。
名刺代わりに白いシャツを着て
とまぁ好き勝手に書いたけれど、僕自身もまた女性から「見られているな」と感じることもよくある。だからこそ、ふだんはスーツを着なくてもいい職業だけど、はじめましての人と会う時は、できるだけ白いシャツを着るようにしたり、革の靴を履くようにしたりしている。同時に靴の手入れも必須だけれど、磨く時につま先はわざとらしく光らせない。これも僕が思う、品ある身だしなみのひとつだ。
ちなみに、これは連載を一緒にやっているからでも、忖度でも、おべんちゃらでもなんでもなく、僕のまわりで一番「身だしなみが美しいな」と思うのは、広瀬裕子さんだ。
裕子さん、あなたが身だしなみ選手権の優勝者です。

はじめましての人が多いワークショップでは白いシャツを。
voice

そう言っていただけるのは、うれしいです。
うれしいですが、不足している部分がますます気になります。
加えていく身だしなみと、減らしていく身だしなみがあるとしたら、わたしは、後者のなかで、と思います。
女性より男性の身だしなみの方が、色々、課題がありそう。