染色家でアーティストの柚木沙弥郎さんの作品を見つめる展覧会「柚木沙弥郎 life・LIFE」が東京・立川のPLAY! MUSEUMにて開催中! 会期は2022年1月30日(日)まで。見応えいっぱいの展覧会の様子をここでお届けします。
型染めで大きな布に大胆に染めた染色作品をはじめ、版画や絵画、立体、絵本…70年を超える創作活動のなかで、たくさんの作品を生み出してきた柚木沙弥郎さん。
近年ではインテリアショップ『IDÉE』や京都に誕生した『ACE HOTEL』とのコラボレーションなど、世代を超えて注目を集めています。創作活動は、99歳になった今日も毎日続いているそうです。
そんな柚木さんの展覧会が、東京・立川の『PLAY! MUSEUM』にて開幕しました。“life・LIFE”という展覧会タイトル通り、「くらし」と「人生」がテーマになっています。
柚木さんが生み出すさまざまな作品を見つめてワクワクしながら、日々の暮らしを豊かに彩り、楽しむこと。そして今を、人生を、いかに大切に生きるか。そんなことに気付くきっかけに溢れています。さっそく展覧会の様子をレポートしていきます!
●鮮やかで、絵本の原画80点
まず会場に入ると、名作絵本『つきよのおんがくかい』や『そしたら そしたら』(いずれも福音館書店刊)をはじめとする、1990年代から手がけた絵本作品の原画、約80点が展示されています。
柚木さんが、絵本制作をはじめたのは実は70代になってから! 原画から、柚木さんの色選びのこだわりや色彩の美しさ、生命力に溢れた力強い筆のタッチを感じます。今にも飛び出してきそうな登場人物たちの姿を、自由に鑑賞しながら楽しむことができます。
楽しい原画の空間を抜けたあとは、布・紙を問わない作品が続きます。盛岡の民藝のお店『光原社』のポスターや、紙粘土と布で作られたユーモラスな人形たち。
また、柚木さんのお部屋を一部を再現したコーナーも見応え抜群です。主にパリの蚤の市やメキシコなどの海外で集めたオブジェや雑貨を見ることができます。キャビネットの寸法も再現し、配置などもそのまま飾られています。柚木さんのインスピレーションの源を垣間見ることができ、楽しいコーナーになっています。
●パワースポットのようなエネルギー!いちばんの見どころ「布の森」
そして続くのは、約50点の色とりどりの大きな染色作品が空間いっぱいに広がる「布の森」。ここが展覧会のいちばんの見どころです!
1950〜1970年代ごろに製作された、注染という技法の染色作品や、大胆な模様が印象的な近年の作品まで、幅広い年代の染色作品が大集結。それぞれさまざまなテーマで表現され、人や動物、模様が躍動する姿を全身で感じることができます。
実はこの会場のライトは、光の向きや温度、光量などを照明デザイナーによって細かく設計されています。まるで森の木漏れ日が、やさしく降り注いでいるような神秘的な雰囲気。庭園や森を散策するように会場内をぐるぐる回って、さまざまな角度から作品を楽しんで欲しいという想いが込められています。
布の透け感や、作品同士の重なりによって違う見え方ができるのも、この会場ならでは。柚木さんのパワーが溢れる空間にひたすら感動します。ベンチもたくさんあるので、ぜひ座ってじっくり体感してくださいね。
展覧会は、同時開催の『ぐりとぐら展』へ続いて終了です。最後は、もうひとつのお楽しみ、ミュージアムショップへ…!
●展覧会オリジナルグッズが多数!
ショップでは、展覧会用に描き下ろしたオリジナルグッズをはじめ、図録や絵本など、柚木さんにまつわるアイテムがずらり。
なかでも注目なのは、岐阜県多治見のタイルブランド『TAJIMI CUSTOM TILES』や、長崎県波佐見町の『白山陶器』をはじめとする、さまざまなメーカーと協業した展覧会限定のコラボアイテム。また、『イイダ傘店』とのコラボアイテムでは、傘の絵柄と持ち手を組み合わせてカスタムメイドの傘を作ることもできます。
そして、本展の図録はとってもユニークな仕上がり。1969年から2020年までにつくられた作品を写真家の平野太呂さんが撮り下ろしてまとめた一冊。3メートルほどの⻑さのある染⾊作品に迫るため、A3変型の⼤判に全図と原⼨⼤の布をレイアウトしています。
(展覧会のグッズ一覧はこちらから)
柚木さんのパワーで満たされ、美術館を後にしたあとは『GREEN SPRINGS』内の緑にも癒されながら帰路につきました。会期は、2022年1月30日(日)まで。柚木さんの作品をたっぷり堪能できる、この貴重な機会をどうかお見逃しなく!
会期:2021年11月20日(土)〜2022年1月30日(日)
会場:PLAY! MUSEUM
住所:東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3
休館日:無休(展示の入れ替え、年末年始を除く)
開館時間:10:00〜18:00(平日は17:00まで/入場は閉館の30分前まで)
観覧料:一般 1,500円、大学生 600円、高校生500円、中・小学生300、未就学児無料
https://play2020.jp/
Instagram:@play_2020_04/
取材・文/阿部里歩