【スタイリスト宇藤えみさん/後編】アトリエ感覚のキッチンは、季節ごとにディスプレイも入れ替え。
家は住む人を守り、心をなごませる大切な容れ物です。心からのくつろぎを求めて家をつくった人たちに、その住み心地を聞いてみました。
フードやインテリアまで幅広い分野で活躍するスタイリスト・宇藤えみさんのお宅を訪ねました。
確かな審美眼で迎え入れたものたちとともに、自然の流れに身を任せる暮らし。
「家づくりのテーマは『光と影』。光がまわるように窓を増設し、陰影が生まれる空間に。ラワン材の壁やダイニングのYチェアが少しずつ日焼けしてきて、時間の経過と共に、家の成長を感じられるようになってきました」
元々は2つ並んだ小窓を、リノベーション時にスクエアに抜いた。額縁のような窓越しに富士山が浮かぶ。
また、リノベーションで一番こだわりを注いだキッチンは、子どもたちやゲストと一緒に料理を楽しみ、仕事場としても活躍する場所。特にキッチンバックのカウンターは、作業場ではなく宇藤さんのアトリエのような空間でもあります。
リノベーション時に試行錯誤を重ね、こだわりを詰め込んだキッチン。「ここが自室のように感じられる場所」と、キッチンバックのカウンターにはお気に入りの器やアート書籍を。思わず眺めていたくなるものをオープン収納で心地よく見せて。
引き出し式の食器収納で大切にしたのは「持っている器を見渡せること」。中は2段構造で、器のサイズに合わせた設計によって出し入れもしやすい。
「キッチン家電も、〝自分の空間の中に置く〟という感覚を意識しています。また、古い小さなガラス棚には、今は木や陶器など、温かみを感じるものを。夏はガラスのもの、お正月には赤い色のものを並べるなど、季節の移ろいに合わせ、ディスプレイを入れ替えています」
家全体の空間づくりの軸は、自然素材のものと、長く愛用するために心から気に入ったものだけを選ぶこと。
「古道具から探すことが多いので、時間がかかることもありますが、間に合わせで済ませず、〝出合えたら買う〟というスタンスを大切に。ダイニングに置く棚は、今も探している最中です」
寝室は極力シンプルに。柱の関係で生まれたデッドスペースに合わせて棚を 造作し、枕元の小物置きとして活用。
確かな審美眼で迎え入れたものたちとともに、自然の流れに身を任せながら過ごす。その日々が住まいを心地よく育て心を整えていくのかもしれません。
宇藤えみさん宅の間取り図。
延床約120平米。築30年を超える一軒家をフルリノベーション。玄関とLDK、バルコニーは上階に設け、階段を下りた先に寝室やバスルームが続く。お風呂を含む、全室オーシャンビュー。
PROFILE
宇藤えみ/うとう・えみ
スタイリスト 44歳
ファッションスタイリストとしてキャリアをスタート。現在はフードやインテリアまで幅広い分野で活躍する。2022年秋から葉山在住。Instagram:@emiuto
『クウネル』2026年5月号掲載
写真/松木宏祐、イラスト/丹下京子、取材・文/阿部里歩、編集/吾妻枝里子
SHARE
『クウネル』NO.138掲載
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