【次の休みに読みたい本vol.3】「やめたいのにやめられない」から抜け出すヒントが見つかるかも
書店の実用書コーナーに立ち寄ると、「捨てる、やめる、手放す」といったタイトルが目につきます。どうして今この類の本が売れているのか、そして今読んでおきたい一冊とは?人気書店のベテランスタッフに取材しました。今回の推薦人は独自の品揃えが本好きの間で知られる西荻窪の今野書店のスタッフ水越麻由子さんです。
情報過多の時代だからこそ、今あるもので豊かに暮らす。
独自の品揃えが本好きの間で知られる西荻窪の今野書店のスタッフ水越さんは、「断捨離ブーム」以来、モノを持たずシンプルに生きることをテーマにした本が売れるようになってきたと実感しているそうです。
「SNS・サブスクなどの情報やサービスが生活の隙間にまで入り込み、現代人は常に欲求を刺激されている状態に疲れています。さらにインフレで気軽にモノを買うことができなくなり、“今あるもので豊かに暮らす”ことが重視されるようになっているのではないでしょうか。多様な生き方が尊重されるようになり、当たり前とされてきた価値観を見直す時期に差し掛かっているというのもあるかもしれません」
推薦してくれたのは、自分らしく心地よい生き方に気づかせてくれる4冊。
「真面目な人、気を遣ってしまう人ほど何かをやめる勇気が出ないのでは。疲れてしまう前に、背中をそっと押してくれるような一冊を見つけて」
今野書店 水越麻由子さん推薦の4冊
『家事か地獄か』
稲垣えみ子 著 マガジンハウス
超節電生活で知られる著者が体現する、身の丈にあった暮らしとは?自分の面倒を自分でみて生きていくための“家事”との向き合い方をさまざまな角度から綴る。
「家電や服、家やお金まで。こんなに手放しても豊かに暮らすことは可能なのだという驚きの記録」
『自己否定をやめるための100日間ドリル』
坂口恭平 著 アノニマ・スタジオ
誰もが一度は経験のある「自己否定」を鬼才・坂口恭平氏が8ステップで解明!否定から抜け出すきっかけを与えてくれる一冊。
「やめたいのにやめられない心の働き“自己否定”に、質問や指示に応えていくことで向き合っていく画期的教科書」
『ミニマル料理
最小限の材料で最大のおいしさを手に入れる現代のレシピ85』
稲田俊輔 著 柴田書店
“そのレシピ、どこまでシンプルにできる?”著者のそんな思考実験から生まれたレシピを“基本形”と味付けや付け合わせを変えた“展開系”にわけて掲載。
「レシピ本を開き、材料や工程を見ただけでうんざりした経験があるなら必読。もうこの一冊だけあればいい」
『恋せぬふたり』
吉田恵里香 著 NHK出版
誰にも恋愛感情を抱かず性的にも惹かれないふたりが、自分たちなりの生き方を模索すべくはじめた共同生活を描く、話題のドラマの小説版。
「アセクシャルを描く物語ですが、『恋せよ』という人や社会の圧力、世に蔓延る恋愛至上主義が息苦しい方もどうぞ」
Information
今野書店
住所:東京都杉並区西荻北3-1-8
https://konnoshoten.com
書店員がすすめる 生き方のヒントをくれる本シリーズ
『クウネル』2025年11月号掲載 写真/鳥羽田幹太、取材・文/吾妻枝里子