山脇りこさん「50代はひとり旅の適齢期」旅先での朝ランで出合った人生最高の酒饅頭

「自由で気が楽」「一人だからこそ、旅先で面白い人や出来事に出合うことができる」。ひとり旅好きのみなさんが話してくれたエピソードにはそんなお楽しみがいっぱい。自身で撮影した写真を見せてもらいながら、そんなひとり旅の誘いに耳を傾けてみませんか。料理家、エッセイストの山脇りこさんに「大人のひとり旅」の醍醐味について伺いました。
快適な朝ランニングで、ひとり旅がもっと充実します。

群馬県の川場村でも走る走る。
著書『50歳からのごきげんひとり旅』が大きな支持を得ている料理家の山脇りこさん。お金の使い方や自分の体調のことをよくわかっていて、子どももそろそろ手離れ。ひとり旅に出ることを家族に説得しやすい50代は「ひとり旅の適齢期!」と話します。

岩手県花巻市の「イギリス海岸」では朝の散歩。この名前をつけたのは宮沢賢治だそう。
「ひとり旅で何かあったらどうしようという不安、ひとりでごはんを食べるのはちょっとなあ、という気持ちがないわけではないんです。でも行ったことがない街、見たことがない風景に出合いたいという気持ちが強くて。ひとりで行くからこそ、旅が普段の生活とは全然別の、非日常になるんです」

こちらの水辺ランは琵琶湖畔。
そんな山脇さんが旅の最大の楽しみというのが、旅先での朝ランニング。なるべくコンパクトに、を目指している荷物にラン用のシューズとウエアは欠かせないアイテムのひとつなのです。旅先のホテルで目覚めると、朝食もとらず5キロほどのランへ出発。

旅に必携のラングッズ。
「まだ眠りから覚めていない街を走ると、軒先を掃除している人や登校する生徒など、観光客には見えない街の素顔が見えてきて。自分もこの街の住人の一員のような気持ちになるんです」
気になるお店や夜ごはんに行こうとチェックしているレストランを、事前にちょっと確認もできたりします。

いつも混雑している京都の坂も朝はひっそりした表情を見せる。
「以前、長野の善光寺あたりを走っていたら、開店前のお店の中に足を止めるくらいすばらしいせいろが並んでいて、ここはただものじゃないな、って思ったんです。あとでそこへ戻って買った酒饅頭は人生で一番の酒饅頭でした。そんな発見も朝ランのおかげ」
大阪の中之島周辺や京都の鴨川沿い、故郷の長崎の海沿いの道……水辺のランニングが好みという山脇さん、次の旅先ではどんなコースで、何を発見するのでしょう。
PROFILE
山脇りこ/やまわき・りこ
料理家、エッセイスト
テレビや雑誌で、シンプルで作りやすいレシピを提案。台湾好きでも知られて旅のガイドブックも出版。最新刊のエッセイ集『ころんで、笑って、還暦じたく』(ぴあ)が好評を得ている。
『クウネル』2025年9月号掲載 取材・文/船山直子
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