紅葉のシーズンはもうすぐ。人生で一度は行きたい仙台の山寺へ。1015段を登った人だけが味わえる爽快感

ミステリアスでかつ素朴が詰まったような「山寺」の響き。名刹、山寺に登る!が2つめのテーマです。

一度は行きたい山寺。

山形市に位置する山寺は山全体が神聖な信仰の地だが、昔から一般に広く開かれている。岩上の小さなお堂は山内で最も古い建造物、納経堂。慈覚大師が眠る入定窟が岩の下に。右は開山堂、その上方に眺望抜群な五大堂が。

山寺

山寺(立石寺)

住 :山形市山寺4456-1
拝観:4〜11月:8:00〜16:00(17:00閉門)/12〜3月:8:30〜15:00(16:00閉門)

岩も緑も深閑として。山寺で呼吸する特別。

山寺は通称で正しくは宝珠山 立石寺。860年清和天皇の勅願により慈覚大師円仁が開いた天台宗の寺で、山ひとつが信仰の場。盛衰を経た今も30以上の遺構が残ります。

1015段という石段数は予め心に刻んでおくとして。

山門をくぐるとすぐに立つ看板には、「昔から石段を1段2段と登ることにより私たちの煩悩が消滅すると信仰されている修行の霊山です」と書かれ、集中は高まります。取材時は可憐なシャガの花が咲き、励ましてもらいました。

山寺の山道にも厳しさほどほどの佇まいが。登り下りで杉林の木漏れ陽も違う風情。シャガは5、6月、楚々として山内に開花。

多くの見どころや石段の区切りで心と目を留めていると、思いのほか疲れを酷く感じずに、仁王門まで到達します。山が参る人たちの俗気を吸うのか、空気は澄み穏やかで心がシーンとしてくるよう。

山寺 仁王門

JR仙山線の山寺駅に降り立てば寺の山門まで徒歩数分。登り始めて二、三百段までは登り切れるか不安でも仁王門まで来ればもう平気と思える。ケヤキ材による美しい門で安置された仁王尊像は運慶の弟子の作とか。

山寺の弥陀洞。

山寺の弥陀洞。直角にそそり立つ岩が自然にうがたれ阿弥陀如来を浮かび出させる。

芭蕉の句の「閑さ」がしみ入る?納経堂に辿り着き五大堂で麓を一望し、奥之院も参って今度は千と15段下ります。

下の茶店で一服。「頑張って」と送り出されて奇岩の光景で昨今注目される裏山寺エリアへ。

山形市で人気の珈琲ショップ、『Tsuki Coffee』が「現代の茶屋」をコンセプトに開いた店でリフレッシュ。みたらし、よもぎ、和になじむマスカルポーネ&抹茶のだんごは2個ずつが絶妙。水出し珈琲がよく合う。

裏山寺の垂水遺跡

裏山寺(峯の浦)エリアの入口は山寺から徒歩10分強の千手院。墓所の脇から15分ほどのハイキングで到達するのが垂水遺跡。蜂の巣状に侵食された岩壁の洞には木の鳥居が立つ。神仏混合の山であり修験の場だった。

裏山寺の垂水遺跡、上記掲載写真の崖中腹、稲荷の鳥居が。

周辺は円仁が山寺の構想を得たと言われる所で、突然現われる不思議な岩の光景に圧倒されます。注意としては……、山寺と裏山寺の一気登りは健脚向きなので、体と足の力を見極めて。そんなジャッジは大人の旅につきもの。

山寺山門に向かう途中にある昭和建立の芭蕉像と「閑さや」句碑。傍らに曾良像も。

千手院

住:山形市山寺4753

8:00〜16:00が好ましい。
昨今は野生動物の出没も目撃されるため、用意が万全だと安心。

帰りは茶店で、玉こんにゃく?だし蕎麦か板蕎麦?ハイカラな団子と珈琲の組み合わせも粋。再び息をついてから帰途につきましょう。

茶店の店頭の鍋には玉こんにゃく。カロリーは低いはずだが力がつく。

Tsuki Coffee山寺南院

住:山形市山寺4276-2
電:090-4259-4444
営:9:30〜16:30
休:火曜

写真/山﨑智世、取材・文/原 千香子

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