60歳広瀬裕子さんの理想の旅行プラン、今こそ東京がおもしろい?川クルーズや観劇、江戸食など【メロウライフ】

エディターの山村光春さんと、エッセイストの広瀬裕子さんによる往復連載。
「60代以降に使われる『シニア』という呼び方がどうもしっくりこない」という2人が、「私たちらしい人生の後半戦」について模索します。シニアでもなく、シルバーでもなく……。だったら「メロウライフ」なんていかがでしょう?
今回は「理想の旅行プラン」がテーマ。どこか遠くへ旅行するよりも、今は東京に興味津々だという広瀬さん。広瀬さんが考える“理想の東京プラン”を教えていただきました。
⇒山村さんの記事 旅の醍醐味は「中日」にあり。とにかく連泊、観光地は行かない。54歳エディターの理想の旅行プラン【メロウライフ】 を読む。
目 次
「知らない東京を知りたい」が今の気分
東京に帰ってきて気づいたのは「わたしの知らない東京」が、まだまだあることでした。「どこかへ行く」より「知らない東京を知りたい」。そう思っているからなのでしょう。遠くへという気持ちが、あまり湧きません。それもあり「理想の旅行プラン」は、あえて「理想の東京プラン」を。

1927年竣工、神田祭時の日本橋三越本店さん。
いまの東京の魅力は「東京と江戸が交差する」ではないでしょうか。双方のよさを感じることができるのが「2025年の東京」です。
〈午前〉江戸の歴史に触れる川めぐり
待ち合わせは、日本橋で。まずは、日本橋から船で川をめぐります。東京の川めぐり、されたことありますか?

日本橋川にかかる「日本橋」。橋の下をくぐることができるのは川クルーズならでは。
川クルーズでお世話になっているのは、船遊びみづはさん。@riverboatmizuha
日本橋川から隅田川へでるコースは、いつもと違う東京を見せてくれます。橋には東京の歴史、河岸には江戸の名残が見て取れます。それらを囲むように建ち並ぶ高層ビル。川めぐりは、江戸から東京の歴史と風景を知ることができるのです。

東京の名所を渋滞なしでめぐることができるのも良いところ。
1時間から1時間半のクルーズを終えたら、お昼は、江戸食にしましょうか。鰻、お寿司、天ぷら、お蕎麦。これらは、江戸で形作られた食です。せっかくなら江戸からつづく老舗にしませんか。

「〇〇・老舗・おいしい」で検索するとずらりと出てきます。写真は、東銀座・成富さん。@ginza_narutomi
お店を決めていない時は、ランチ時は、サラリーマンのみなさんが並んでいるところは、おいしくリーズナブルなお店が多いので、そういう出合いもいいですね。
〈午後〉今の東京を感じるはとバスツアー
ランチのあとは、東京駅丸の内口発のはとバスツアーはいかがでしょう。2階だてバスに乗り東京をめぐります。こちらは、皇居・永田町・湾岸・銀座をぐるっと周るコースがお勧めです。

川とはちがう「いまの東京」の景色が広がります。
外国からのツーリストの方たちとめぐりたい方は、丸の内発の別会社のバスも選べます。こちらは、ロンドンで走っているバスでの東京めぐりになります。
川めぐり、バスめぐり、どちらもですが、町行く人たちが手を振ってくれるのが新鮮です。川めぐりでは、すれ違う船同士も。東京の知らない一面です。
バスツアーのあとは、ティータイムにしましょうか。丸の内にいるならば、その周辺を含め、日本橋・虎ノ門のラグジュアリーホテルでのティータイムはいかがですか?もうすぐ建て替えがはじまる帝国ホテルもいいですね。
カジュアルに楽しみたい方は洋菓店のティールーム、しずかに過ごしたいときは老舗の和菓子店も選択肢にいれてください。
〈夕方〜夜〉お好みに合わせて2プランを提案
夕方から夜にかけては、2コースあります。

歌舞伎座前はいつも観光客で賑わいをみせます。

創業約170年、日本橋・弁松総本店さんのお弁当「白詰」。@benmatsu1850
「観る」がすきな方は、歌舞伎、寄席(落語)、相撲(現在はチケット入手困難ですが)。お弁当を持ち込んでの鑑賞・観戦などいかがでしょう。歌舞伎座のなかには料亭の支店もあり、一見さんではなかなか行けないお店も歌舞伎座なら気軽に行けます。

予約可能なお店は、予約が確実です。いまは、海外からの方が多く、飲食店はどこも混んでいます。
写真は、八重洲・はし本さん。@kawauo_diggin
「食べる」に惹かれる方は、おいしい夜ごはんコースです。江戸食をはじめ、あらゆる「おいしい」が揃っています。何代がつづく洋食屋さん、きっぱりとした居酒屋さん、フレンチ、イタリアン。その時のメンバー、予算などでお店を選びます。わたしだったらーー。ランチは、お寿司。夜は鰻でしょうか。
お祭りや市など季節行事もぜひ
ざっとですが、これで1日東京が楽しめます。トレンドの東京もいいですが、江戸の「粋」を感じる東京は、過渡期のいまだから、という思いがあります。急速な再開発がつづく東京です。いつまで江戸の空気を感じられるかは、誰にもわかりません。

活気あふれる江戸東京のお祭り。佃・住吉神社さんの例祭。
東京は5月から行事・お祭りのシーズンがはじまります。5月は、神田祭、三社祭。季節が進むと花火大会・夏祭り、盆踊り。市も立ちます。

夕食後もまだまだ楽しいことがある東京の夜。築地本願寺さんの盆踊り(7/末から8月にかけ開催)。
ここ数年、盆踊りは人気があり、7月にはいると毎週末どこかで開かれています。こちらも東京と江戸が交差する場。観劇の後、夕食後、ふらりと覗くのも楽しいですよ。ぜひ、東京へ。
~アフターメロートーク~

おりしも最近、僕もこのエリアに越してきたばかりなので、興味シンシンです!裕子さん的には「江戸」のどういうところが好きですか?

江戸がすきというより、時間のつながりに興味があります。色彩の感覚や、粋の定義など、すてきだと思っています。
「見た目は、決して派手ではなく、見えないところに手をかける」。おしゃれの定義も。
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この記事の
プレミアムメンバー

広瀬裕子
執筆のかたわら、50歳から空間設計の仕事をはじめ、現在は設計事務所の共同代表としてホテルや店舗、レストランなどのディレクション、フードアドバイス等にも携わる。著書に『60歳からあたらしい私』(扶桑社)など多数。
Instagram:@yukohirose19