夫を亡くし「これからひとりの人生をどう生きていこうか」と海沿いの街へ移住するまで

暮らしを営む空間の変化や住んでいる環境の変化からは、意外なものが見え、気づきもあります。最近住み替え&リノベをしたスタイリスト工藤満美さんの自宅を紹介。
憧れの“海近”に建つ、きれいに片付く家。
5年前に夫を亡くして、「人生って何だろう」、「これからひとりの人生をどう生きていこうか」と考えていた工藤満美さんが、「ひとりだからどこでも好きなところに住めるんだと気がついて、まずは環境を変えて心豊かな生活を送ろう」と思い立ち、行動を起こしたのは3年前。
住み慣れた街を離れるのは勇気がいりましたが、ランニングや観光で訪れていた逗子は以前から憧れていた場所。海も山もあって趣味のランニングがし放題。しかも最高のロケーションで!新鮮な海の幸なら魚嫌いも克服できるかも………と妄想を始めたら止まらず、楽しいことしか浮かばなかったんです」

自然素材を使用するメーカーの施工なので、漆喰の壁と天然木の床が特徴的。プロのアドバイスで採用した吹き抜けが気持ちいい空間に。グレーの壁は工藤さんのリクエスト。ソファは『イケア』。
思いついたらすぐ実行という性分の工藤さんは、早速、逗子の駅前の立ち飲み屋さんで地元の人にリサーチ。塩害の心配や観光地ならではの渋滞など、気になる疑問をクリアして、移住先は神奈川県逗子市に決定しました。
10年住んでいたさいたま市の家を売るところから始めて、やることはたくさんありましたが、海も山も近いエリアで理想の土地に出合い、知人の素敵な家を施工した会社を紹介してもらって依頼。と、ひとつ解決するとどんどん進んでいったそうです。

Before
亡き夫と暮らしていたさいたま市の家。夫婦で建てたこの1軒めの家で実感したことが、今回の家に反映されているそう。
「家を建てるのは2回目なので、前の家のときの反省を生かして、動線や内装など何回も打ち合わせしました。ものが見えるところに出ていたり、散らかるのがストレスなので収納場所も充分確保して、昨年、理想の家ができました」。

生後2週間で保護し、現在8歳の愛猫姉妹の食事スペースは階段下に。『うちのこエレクトリック』給餌器と『ハッピーダイニング』の脚付ボウルをセッティングした木製の台座は、パートナーのお手製。
工藤満美さん自宅の間取り図。

築10ヶ月107平米の3LDK。施工は自然素材の住宅に特化した『ecomo』。リビングルームからキッチンにも2階にもすぐに行けて、洗濯機から洗濯もの干し場への動線も最短。
PROFILE
工藤満美/くどう・まみ
スタイリスト 52歳
洋服に加え、きものの着付けやレンタルサロン「KIMONOBLE」も運営するスタイリスト。アフリカンバティックの浴衣『PEAFOWL TOKYO』主宰。15年前に始めた趣味のトレイルランを継続中。Instagram:@mamikudo
『クウネル』2025年5月号掲載 写真/加藤新作、取材・文/黒澤弥生、間取りイラスト/丹下京子
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『クウネル』NO.132掲載
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