70代暮らしでやめてスッキリしたこと8つ。結局使わない健康器具、やらない自分を責めたくなるのでスパッと処分しました

本当に気に入ったものがあればたくさんはなくていい。その分、ひとつひとつに思いを込めて。そんなふうに暮らしをコンパクトにした方々を取材しました。2人のお子さんが独立してからは夫とふたり暮らしをしているエッセイスト/イラストレーター・中山庸子さんが、心地いい暮らしのためにやめたことをご紹介。
ものから解放され心にゆとりが。
都内にある3階建ての一軒家で夫とふたりで暮らす中山庸子さん。
「30年前に買った中古物件で、あちこち手を入れていますが、息子と娘の独立などで大きなリフォームを2回しました。3階分の階段の上り下りは大変ですが、かえってそれがいい運動になっているのか、夫婦ともに足腰は丈夫なんです」

2人のお子さんが独立してからは夫でイラストレーターの松本孝志さんとふたり暮らし。2階リビングの窓際は夫婦のくつろぎの場。
愛着のあるこの家にずっと住み続けたいという思いから、家の中のものや暮らしを見直すと、70歳をすぎて〝やめたこと〟がたくさんあったと言います。

1階は夫婦の仕事場。本棚で仕切られたここはちょっとした来客の対応や休憩などに使うスペース。浅野お参りをする場所でもある。
〝やめたこと〟その1 ちゃんとした仏壇
「形にこだわるのをやめ、キャビネットの上をお参りコーナーに。仏具を選び抜き、夫が描いた抽象画を飾って生活の中に溶け込ませました」
〝やめたこと〟その2 観葉植物
「大きな鉢植えは足が引っかかるうえに、私はなぜか植物を枯らす名人のようで……。苦手なことはやめ、切り花を楽しむようにしました」

「71歳の私はまだまだ元気に動けるから生活のクオリティ自体は下がっていないけれど、60代の頃とは明らかに違う。頑張れる時間が減ったというのかな。軽く掃除しただけで疲れるし、体の動きも鈍くなっていて、ちょっとした段差につまずくことも。そのため、玄関マットからキッチンマット、ダイニングのラグまで、家中の敷き物は全部外しました」

約20帖の2階のリビングダイニング。一角には小上がりの和室も。漆喰の壁とフローリングの面を広く見せ、スッキリした印象に。
〝やめたこと〟その3 壁に飾る、貼る
「文字や数字があると目が疲れるのと、額が少しでも曲がっていると気になるから。背の小さい私は高いところのホコリを取るのも一苦労」
〝やめたこと〟その4 ラグ、マット
「洗濯するのも大変だけど、なければその手間も省けるし、何よりわずかな段差につまずくことが減りました。拭き掃除もサッとできてラク」

〝やめたこと〟その5 プラスチック収納
「見た目がおしゃれじゃないから。眼鏡やアクセサリーなどの小物は、革張りのチェストに。ものの場所を決めて整理しやすく」
これがとても快適で、事故防止や掃除がラクになる以外のメリットも発見。
「リビングの大きな絵も外したのですが、壁や床は素材のままを生かして何も飾らない、置かないようにするとそれだけで広く、スッキリ片づいて見えるんです。1か所でもそういう〝景色のいい場所〟をつくると、それに引っ張られて他も片づけようという気持ちになりますよ」


中山さんのくつろぎスペース兼寝室。敷布団は薄くて軽いものを何枚か重ね、上げ下ろしをラクに。お孫さんが遊び回れるよう何も飾らず、畳や障子も丈夫な素材に変えた。
〝やめたこと〟その6 フカフカ枕、重たい布団
「寝具は体を優先。フカフカでも安眠できない羽根枕は硬めのビーズ枕に、朝起きたときに疲れが抜けないと感じた重たい布団は軽い羽毛に」
〝やめたこと〟その7 健康グッズ
「ながら運動できると部屋のあちこちに置いていましたが、結局使わないし、やらない自分を責めたくなるのでスパッと全部処分しました」

〝やめたこと〟その8 詰め込み収納
「スペースがあるとものを詰めたくなりますが、“余白”をつくると片づけにも余裕が生まれます。和室下の引き出し収納のひとつはつねに空に」
中山庸子さん自宅の間取り図。

築36年ほどの建物は約120平米3階建て。1階のガレージだった場所は現在、夫婦の仕事場に。2階と3階が主な生活スペース。
PROFILE
中山庸子/なかやま・ようこ
エッセイスト・イラストレーター 71歳
おしゃれや暮らしのことを綴ったエッセイが人気。『70歳を越えたらやめたい100のこと』(アスコム)、近著に『中山庸子の夢を叶えた暮らしの手帖』(小学館)。
『クウネル』2025年5月号掲載 写真/玉井俊行、イラスト/中山庸子、取材・文/矢沢美香、間取りイラスト/丹下京子
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