引田かおりさん・60代からの快適暮らしのヒント1/あちこち出かけなくとも、我が家を最強のパワースポットに

あの家が片づいている理由。その秘訣や心がけていること。教えてもらったら、なるほど、取り入れてみたいことがこんなにありました。吉祥寺でギャラリーとベーカリーを営む、引田かおりさんのご自宅。ただ暮らすだけではない、住まいへのこだわりに溢れています。
すっきり気持ちよく片付けて、我が家を最強のパワースポットに。
縁あって夫の同級生の家を譲り受け、全面的なリノベーションを施して移り住んだのが9年前のこと。広々としたリビング・ダイニングルームからキッチンへ、 寝室へ、最低限の間仕切りしかない、開放的ですっきり整った引田かおりさんの住宅です。
\広々と解放感あふれるリビング/

リビングルームの壁には引田さんが応援する写真家・砂原文さんのハワイ・モロカイ島の海の写真。 ランプのそばにはガラス作家イイノナホさんのオブジェが。引田さんの「好き」がそこここに。
「人混みが苦手で、どんどん外に出かけていくタイプではないんです。でも、あちこち出かけなくても自分の家がパワースポットになったら最強ですよね。それが私の目指すところ」
\引田家のパワースポット/

リビングとダイニングの真ん中にある引田さんの大切にする「ホーリーコーナー」。中央は家を守ってくれるという陶製の「イヤシロチ」。

玄関とリビングの間のドアには十字架のようなガラスの意匠が。天窓からの光を受けて美しい。
センスのいいアーティストやクラフトマンの作品を紹介するギャラリーの主宰者だけあって、家のそこここに美しく、 愛らしいオブジェや写真が。リビングダイニングの中心には引田さんが「ホーリーコーナー」と呼ぶ1m四方ほどのスペースがあり、大好きなガラスの神さまや家を守るといわれる卵型オブジェがキャンドルと共に並んでいます。大切なパワースポットだからこそ、きれいにしていたい。ものがぎゅうぎゅう詰め込まれているのはいやだから、不要なものは循環させて暮らしたい。理想はホテルの部屋のような清潔感と清々しさなのです。
\ホテルのようなクリーンですっきりとした部屋/

リビングから寝室を望む。『スタンダードトレード』のチェストに『マッキントッシュ』のチェアがスタイリッシュなホテル空間を再現しているよう。窓外の植栽も心を和ませてくれる。

夫と共有のワークデスク。壁の反対側がキッチン、手前がダイニングスペース。ゆるやかにつながった空間だ。
「人間の体は食べ物や血液がうまく循環 していないと病気になりますよね。家も同じじゃないかしら。人がしゃべって、食べて、動いてこそ家は生きてくる。家は人生を応援してくれるもの。だから大事に、きれいにしようって思うのです」

築18年の家をフルリノベして住んで9年、1LDK、広さ150平米。玄関のイイノナホさん作のガラスボールのシャンデリアが美しい。
PROFILE
引田かおり/ひきた・かおり
ギャラリー「フェブ」・パン屋「ダンディゾン」オーナー
吉祥寺にて夫と共にギャラリー、パン屋を営む。『日々更新。風通しよく年を重ねていくこと』 『「どっちでもいい」をやめてみる』(ともにポプラ社)など著書多数。
『クウネル』2025年5月号掲載 写真/木寺紀雄、取材・文/船山直子