【エッセイスト・石黒智子さんがお金について考える/後編】「いいものを長く使う」ことは暮らしのヒントにもなります
「あれば安心」のお金ですが、どれくらい必要で、どんな風に使うのが快適かは、人によってちがいます。「これから」を見据えたお金との心地よい関係についてさまざまな価値観の方に伺いました。
石黒智子/いしぐろともこ
収納や家事のアイデア、人付き合いのヒントなど、 暮らしにまつわる情報を独自の観点で発信。近著は暮らしにまつわる情報を独自の観点で発信。近著は『60歳からのほどよい暮らし』(PHP研究所)。
「いいものを長く使う」ことを意識する
収入が多い年は海外旅行に行き、少ない年はピクニックなど別の楽しみ方をして、柔軟に対応してきたと話します。また、収入が少ないときは、家計を見直すチャンス。得意な「暮らし方の工夫や見直し」も、より研ぎ澄まされるというものです。ものを買うときは、サイズ、使い勝手、耐用年数など、ありとあらゆることを考える石黒さん。
「とりあえず」 や「間に合わせ」で買い物することは決してありません。そのうちの2種が、子どもの文房具と台所道具。文房具は「子ども用」ではなく、「少なくても高校生くらいまでは使えるもの」をと大人用のものからデザイン、使い勝手を厳選して最高のものを揃えました。
結果、ほとんどがいまも現役。「いいものを長く使う」の好例といえましょう。 「要らないものは買わないし、欲しいものは、何としてでも買ってきました。 私はものを買うのにものすごく時間が掛かるんです」。たとえば、気に入る手袋が見つからず、初めて手袋を買ったのが42歳のとき。それまでは手袋無しで過ごしたそうです。
インターネットを使うようになってからは、目当てのものに辿り着くまで に世界中を探しているという石黒さん。ものに巡り合う時間を惜しみません。 「いいお金の使い方は、労働の価値を高める」と、ハッとするお言葉。日々、頭と体を動かし得た大切なお金は、納得いくものやことに変換し、暮らしを豊かにしてくれます。
70代目前のいま特に気を配っているのが食事。外食も間食もほとんどせず、夕食から翌朝食まで12時間以上空けるようにしているそう。そして、よく歩くことも健康のためのルール。買い出しのスーパーは4軒回ります。往復1時間の図書館へも徒歩で。
「途中で誰かしらに会うので、その際の立ち話も健康維持の秘訣かもしれません」
『クウネル』2022年11月号掲載
写真/柳原久子、杉能信介(石黒さん)、 取材・文/鈴木麻子
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『クウネル』No.117掲載
あの人が心がけている60歳からの幸せルール
- 発売日 : 2022年9月20日
- 価格 : 980円(税込) (税込)