【目利き書店員の推し本5冊】蟲文庫・田中美穂さんが選ぶいつまでも古びない本とは?

新たな本に出合いたいけれど、何を選べばよいか分からない。そんな時は本のプロである書店員さんに聞いてみるのも手。直木賞作家から書店員歴40年以上のベテランまで、個性的な書店オーナー&書店員さんに「推しの本」を取材しました。

田中美穂/たなかみほ

1994年開業。『わたしのちいさな古本屋』(ちくま文庫)、『苔とあるく』『亀のひみつ』『星とくらす』(WAVE出版)など著書多数。

倉敷の歴史ある街並みになじむ古民家を改装した小さな書店

田中さんが書店を始めたきっかけは、自分が生まれ育った町に、本を売る店が一軒でも増えたら楽しそう。と思ったから。「ここ倉敷でも、個人書店はほとんど姿を消してしまったので、この店を存続させることが目標。古書店を営むうちに“古びない本”というものが見えてくるようになりました。そういう本に惹かれますし皆さんにも出合っていただきたいです」

原民喜全詩集』原民喜
「好きな詩は、繰り返し何度でも読むし、読み終わるということもない。いつも手元に置いておきたい詩集です」。550円(岩波文庫)

王朝奇談集』須永朝彦編訳
『今昔物語集』などの説話集から、よりすぐりの不思議な短編が82篇。「古典に親しむきっかけに」。1,100円(ちくま学芸文庫)

野尻抱影 星は周る 』野尻抱影
「星の文人」と呼ばれた著者の随筆集。「街中の明るい夜でも曇り空でも、常に星々を感じることができます」。1,540円(平凡社)

なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』小津夜景、須藤岳史
フランス在住の俳人とオランダ在住の古楽器奏者の往復書簡。「言葉と音についてのやりとりが興味深い」。1,980円(素粒社)

パンと野いちご』山崎佳代子
戦時下のセルビアで難民となった人々の食物の記憶。「遠い国の人々の姿と暮らしが鮮やかに浮かび上がる」。3,520円(勁草書房)

蟲文庫

住:岡山県倉敷市本町11-20
電:086-425-8693
営:11:00~18:00
休:不定休
https://mushi-bunko.com/

『クウネル』2023年1月号掲載
編集・文/吾妻枝里子

SHARE

『クウネル』No.118掲載

私の人生を変えた本

  • 発売日 : 2022年11月18日
  • 価格 : 980円(税込) (税込)

IDメンバー募集中

登録していただくと、登録者のみに届くメールマガジン、メンバーだけが応募できるプレゼントなどスペシャルな特典があります。
奮ってご登録ください。

IDメンバー登録 (無料)