パリに暮らして5年目になる〈クウネル・サロン〉メンバーの松永さん。ギリギリの隙間にギュウギュウに駐車している車には驚くと同時に感動もしているそう。フランスの車事情についてレポートしてもらいます。
メトロやバスが充実しているパリですが、道路はいつも混雑していて、フランスは車社会だなと実感します。フランスの車の所有率は日本と同じくらいで、セダンタイプがメイン。パリなどの都心では、レンタカーやカーシェアリングも人気です。
建築基準が厳しいパリでは、建物を壊して駐車場にすることはできません。街に路上駐車と地下駐車場が多いのはそのためです。それを一時利用者と長期利用者で共有していますが、立地やスペースの希望が叶わないことも多く、都市部は慢性的な駐車場不足。そこで発生するのが、パリ名物、隙間のない縦列駐車です。どうやって出庫するかというと、前後にぐいぐい(たまにガンガン!)とぶつけて出るのがフランス式。ちなみに、冬は車に傷が付かないよう車間にコートを挟んで押し出る…という気遣い(?)もありますが、どちらにしても大胆なやり方です。
フランス人は運転も大胆。一方通行の狭い道や多差路、ラウンドアバウトも、みんな強いハートでびゅんびゅん走り抜けます。少しでも遅れを取るとすぐにクラクションを鳴らされて、割り込みも当たり前。そのせいで窓越し(ときには車を降りて)のケンカもしょっちゅう、邪魔な路駐で渋滞が起きることも日常茶飯事です。
そんな道路事情と駐車問題があるせいか、パリでよく見かけるのが、ルノーのtwingoをはじめ小回りの利くコンパクトカー。狭い路地や混みあう街をすいすいと走り、存在感を放っています。通勤からバカンスまで、フランス人のライフスタイルに車は欠かせない存在なのです。