57歳、おひとりさまで札幌に家を建てた理由とは? ひとり+3匹と住まう注文住宅を紹介!

「アラフィフからの前向きなおひとりさま生活」が共感を集める、57歳のインスタグラマー・りさねーぜこと酒井りさこさん。愛犬&愛猫との暮らしや独立ストーリーをつづった初著書『57歳、いきいきハッピーおひとりさま暮らし』(KADOKAWA)では、ミドルシニア世代の暮らしと働き方のヒントが満載。今回はその中から「札幌に一戸建てを建てたワケ」をご紹介します。
目 次
ミドルシニアを軽やかに過ごすためのヒントが詰まった一冊

『57歳、いきいきハッピーおひとりさま暮らし』(KADOKAWA)
57歳、北海道・札幌で犬1匹・猫2匹と暮らす酒井りさこさんは、「りさねーぜ」の名前でInstagramを中心に活動する人気インフルエンサーです。
47歳で注文住宅を建て、54歳から副業ブログとSNSをスタート。総フォロワー22万人を超える現在は、フリーランスとしてSNS講座の運営など、オンラインでの働き方を実践しています。

愛犬・コロネとりさねーぜさん
かつては都心のマンションに住み、出世やブランド品を追いかけていた“バリキャリ”時代を経て、30代後半からは、左遷や婚活、子どもを持たない選択など、人生の転機に直面。
「私はどうしたいのか?」と自分に問い続けながら選び取ってきた暮らしが、今の“ストレスフリーな自分”につながっていると話します。
本書では、そんなりさねーぜさんの半生をベースに、結婚や出産への考え方から、仕事や老後、暮らしの整え方まで、ひとりで生きることへのリアルな視点と前向きなヒントが詰まっています。
孤独と孤立の違い、グレイヘアの楽しみ方、家づくりの秘訣、そして「自分で自分のきげんをとる」大切さなど、心に刺さるメッセージが散りばめられています。
パートナーの有無、家族構成、働き方にかかわらず、「私らしく、心地よく生きていいんだ」と思わせてくれる内容になっています。
今回は〈クウネル・サロン〉の読者のために、本書の中から一部記事を特別に紹介します。
※これより下の記事は『57歳、いきいきハッピーおひとりさま暮らし』(KADOKAWA)からの抜粋です。
40代で“自分のためだけ”の一戸建てを建てた理由
30歳のときに買ったマンションは、なんと80㎡という広さ!3LDKを2LDKに間取り変更して、20帖近くあるリビングに大きなダイニングテーブルと、大きなソファーを置いていました。ひとり暮らしなのに!
ここには「他人から幸せそうに見られたい」という、他人軸の価値観が表れていたんですよね。友人たちを招いて「わー、広い! すごいね!」って言われたいだけの家。しょっちゅうホームパーティを開いて、騒がしい毎日を送っていました。
でも、40歳を過ぎてから、そんなふうにたくさん人を呼ぶことにも疲れてきたんですよね。ちょうど自分にとって何が心地よいのか、考え始めた時期でした。だんだん人を招く機会も減ってきて、ひとりで過ごす時間が増えていきました。そうして感じたのは、「こんな広さの家、必要?」っていう思い……。
はじめは中古の小さなマンションを探していました。60㎡くらいの1LDK で、ペット可の物件。これが札幌市内ではなかなか見つからない。そもそもペット可物件が少ないうえ、60㎡という物件がほとんどない。
最近でこそひとり暮らし向けの分譲マンションが増えてきましたが、2010年代に探したときは、ファミリー向けの70㎡以上か、投資用の40㎡前後のワンルームのどちらか。新築でも、60㎡でペット可のマンションはかなり稀でした。
そこで一戸建ての案が浮上してきたわけですが、最初は私も、女性ひとりで一戸建てなんてありえないと懐疑的でした。

りさねーぜさんの住まい。こだわりを詰め込んだリビングダイニング
決まるまで色々なことが巻き起こりつつも(ぜひ詳細は書籍にて)、結果としてよかったのは「一戸建て、ありかも」って考えられるようになったこと。改めていろいろと調べてみることにしました。会社でも仕事を干されていたので、時間はたっぷりありましたしね。まずは土地を探し、マンションを売却してローンの残債を払って、残ったお金で土地を購入しました。
仮住まいのアパートにいったん引っ越してからは、じっくりと家づくりに取り組むことに。工務店探しから、引き渡しまでの期間は1年くらいかけました。いくつも工務店やハウスメーカーを回り、ネット上でのクチコミを調べ、本も買って勉強しました。
他人からどう見られるかではなく、「自分がどんな暮らしをしたいか」を基準に建てた注文住宅。小さいけれど暮らしやすい間取り。ペットとのびのび暮らせる空間……。とはいえ、予算には限りがあるので、何を優先すべきかという点はかなり考えました。
おうち時間が最高の贅沢になる暮らし

お気に入りのキッチンと、愛猫たちのために設えたキャットウォーク
注文住宅は、好き嫌いが分かれる気がします。
理由は、本当に細かいところまで自由に決めることができるのですが、逆に言うと、それらすべてを自分で決めなければならないからです。
間取りや外観はもちろん、壁や床の色、素材から、照明のスイッチの位置、コンセントの数、洗面所のタイルの色や大きさ、並べ方、トイレットペーパーホルダーの形、タオルかけのデザイン……。ありとあらゆることを、自分で決めなければなりません。もちろんハウスメーカーによっては、ある程度パッケージにして提案してくれるところもありますが、私の場合は、どれも自由に選べるのが、楽しくて仕方ありませんでした。
そして何よりよかったのは、自分にぴったりのサイズの家が建てられたこと。広すぎず狭すぎず、ちょうどいい大きさの今の家は、本当に快適です。

ひとりと3匹のための間取り
また、戸建てのよさとしては、上下階や隣の家とくっついていないということ。ペットがいることもありますが、私は生活音を「出す」ことが、とても気になるタイプで、「あ、今の音、うるさくなかったかな」とか、すぐに気になっちゃうんですよね。前のマンションで、飼ってもいないのに「犬の鳴き声がうるさい」などの、おかしな言いがかりをつけてくる人が隣に住んでいて……。それがトラウマになってしまい、生活音を出すのが怖くなったんですよね。
それと、マンションで不満だったのが管理組合。共用部分の修繕をするとかしないとか、管理組合で決めるわけですが、私は必要ないと思っていても、多数決で「必要」という意見が多ければ実施されるじゃないですか。そんなふうに折れなければいけないのも不満でしたし、必要ないと思っている修繕や管理にも費用(管理費や修繕積立金など)を徴収されるのが、なんだか納得いかなかったんですよね。
でも、戸建ての持ち家なら、修繕するもしないも自分の自由。この縛られない感じが、日々の生活を送るうえで、何ともいえない解放感をもたらしています。
ただ、注文住宅は建売住宅よりも費用はかさみます。なので、私はコストカットするために、「あったらいいよね」という程度のものは、ほとんどつけませんでした。
たとえば、ベランダや庭、掃き出し窓。ベランダにデッキチェアを置き、天気のいい休日はのんびりお昼寝したり読書したり。広い庭では、お花を植えたり、家庭菜園を楽しんだり。大きな掃き出し窓があれば、リビングにはさんさんと日差しがふりそそぎ……。
どれもとても気持ちよさそうですけど、暖かくて天気のいい休日って、冬が長い北海道では多くないですし、ゴロゴロくつろぐだけなら、別にベランダじゃなくてもいいと思ったんです。それに二階建ての家のベランダでくつろいでいたら、隣の家から丸見えになってしまうのでは? 家庭菜園も、仕事していたらそんなことやる時間あるのかな? きっとないな。
そう考えて、一般的な一戸建てにありそうな、ベランダ、庭、掃き出し窓は必要なしと判断しました。
他にも、床暖房に天窓、ジェットバス、浴室乾燥機と、素敵なオプションや設備はたくさんありましたが、費用がかかるうえ、メンテナンスに手間もかかるので、避けました。
また、うちは日当たりが悪いのですが、10年住んでみて、不満に感じたことはありません。最近の家は、日当たりが悪くても湿気でジメジメすることはないそうです(実際にカビが生えることもありませんし、結露も起きていません)。
それに、前のマンションは窓が大きくて、日当たりがとてもよかったのですが、晴れた日は眩しすぎて、テレビやパソコンが見えない事態に。なので、昼間からカーテンを閉めていて、日当たりのよさは必要ないどころか、よすぎると逆に困るなって感じていたんですよね。
モデルハウスとか見ちゃうと、便利な機能や素敵な設備がたくさんありますが、そこに踊らされて「せっかくだから……」とかオーダーすると、予算はどんどん膨れ上がります。自分にとって何が必要か、どんな暮らしがしたいのか、それらを事前にしっかり明確化するのが、注文住宅で失敗しないコツだと思います。
好評発売中!『57歳、いきいきハッピーおひとりさま暮らし』

インスタグラマー“りさねーぜ”こと酒井りさこさんによる、初の著書。かつては「50代なんて終わっている」と思い込んでいた彼女が、働き方や暮らし方、人との距離感を見つめ直し、「自分のための人生」を手に入れるまでをリアルに綴ります。
都心のバリキャリ時代から、札幌に建てた一戸建てでの犬猫との穏やかな日々まで。結婚・出産・仕事・老後・お金・家づくりなど、多くの女性が抱える悩みに対して、「私はどうしたい?」と問い続けてきた彼女ならではの視点と、前向きなヒントが詰まった一冊です。
撮影/山辺 学(calmphoto)