「私もターシャのように生きたかった。できたら人生をやり直したい」という日本の読者への、ターシャの答えです。やり直して、もっと悪くなるかもしれないなら、今ある幸せをありがたく思い、前を向こうという気になりますね。

年をとることについて、たくさん語ってくれたうちのひとつ。「時計の針を戻そうとするのではなく、今やりたいこと、今楽しくつきあっている人たちに目を向けてみては？」というメッセージも。

生きていれば、つらいこと、落ち込むこともあります。でも、「“どんな雲にも（太陽に照らされた）銀色の裏”というでしょう？」と、ターシャ。明るい「裏」が見えなくても、裏側は明るいはずと思うだけで楽になりませんか。

年をとり一人暮らしになった時、「さびしいのでは？」というこちらの思いをよそに、「子育ての忙しさや心配事がなくなった今は、人生でいちばんいい時よ」と。子育て期は子育て期で、その時が一番だったのでしょう。常にそう思いながら生きれば幸せに。

思うようにいかず、「どうして？」と愚痴をこぼした友人に、ターシャが返した言葉。考えても状況が変わらないなら、受け入れて前に進むしかありません。思い悩む時間もエネルギーももったいないと考えれば……。

大好きなスイレンを思い浮かべるだけで元気になれたターシャ。ガチョウのひなというところが「らしい」ですね。つまり、思わず顔がほころぶものなら何でもOK。思い浮かばなかったら、口角を上げるだけでも気持ちが晴れます。

ターシャは、厳しくて長いバーモントの冬も、その先に花開く輝きの季節が待っていることを想像して耐えました。つらい時、不安な時、つい悪いほうに考えがちですが、「そんな時こそ、よいこと、楽しいことを想像して」と。

写真家のリチャード・ブラウンは50代のとき、解体寸前の19世紀の建物の移築保存に取り組みました。「この年でこんなことを……」と吐露した彼にターシャは言いました。「50代なんてまだ若いわ。やりたいと思ったらやるべきよ」

「当たり前にあるものも、実は奇跡の積み重ねなのかも」というメッセージ。たとえば、毎日顔を合わせる家族や同僚の存在だって……。そう思うと、日々の生活がもっとわくわくし、生きていることが楽しくなりませんか。