脚本家・岡田惠和が描く大人の恋愛ドラマ「最後から二番目の恋」は名言の宝庫/前編

11年の時を経て、あの人気ドラマ『最後から二番目の恋』が帰ってきました。大ファンだというイラストレーターの五月女ケイ子さんと共に、心に残る印象的な台詞をプレイバック!
タイトルだって名言の宝庫!
season1 『最後から二番目の恋』

2012年放送。TV局でドラマプロデューサーとして働く45歳の吉野千明(小泉今日子)が、鎌倉の古民家に引っ越す。隣に暮らす市役所勤務で50歳の長倉和平(中井貴一)とその家族たちとの交流を描く。©フジテレビ
第1話 「寂しくない大人なんていない」
第2話 「ひとりって切ないくらい自由」
第3話 「大人の青春を笑うな!」
第4話 「女が年取るってせつないよね」
第5話 「人生最後の恋って何だろう」
第6話 「今迄のどんな恋にも似てない」
第7話 「恋ってどうすれば良いんだ?」
第8話 「大人のキスは切なくて笑える」
第9話 「キスは口ほどにものを言う!」
第10話 「大人の未来だって、輝いてる」
第11話 「まだ恋は終わらない」
season2 『続・最後から二番目の恋』

2014年放送。前作から約2年後、48歳と52歳になった千明と和平を中心に長倉家と仲間たちを描く。千明の元彼の登場、新たに登場する女性に翻弄される和平などの変化もありながら2人の掛け合いは健在。©フジテレビ
第1話 「大人の青春って、始末に負えない」
第2話 「恋愛下手な大人たち」
第3話 「過去の恋は、笑って葬れ」
第4話 「私の人生、計算外!?」
第5話 「全く大人って生き物は…」
第6話 「それでも人生は素敵だ」
第7話 「歳を重ねてピュアになる」
第8話 「大人はみんな問題児。」
第9話 「恋で泣く大人も悪くない」
第10話 「恋をのぞけば、順調です」
第11話 「二人で200歳へ!!人生まだまだファンキーだ」
season3『続・続・最後から二番目の恋』

前作から11年の時を経た待望の続編。千明は59歳でTV局を退職間近、和平は63歳で退職後も市役所の観光課で指導監として勤務。変わらず鎌倉を舞台にしたロマンチック&ホームコメディ。©フジテレビ
第1話 「人生あがきながらけっこう楽しんでいる」
第2話 「若さより輝く時だってあるんだぜ」
第3話 「正しい生き方なんかどこにもない」
第4話 「人生に恋するためにここにいる」
第5話 「そっか、年を取るって悪くないかもね」
第6話 「どうせならファンキーに年を取りたい」
第7話 「ときめきに年齢制限なんかない」
第8話 「泣いても笑っても、愛おしい人生」
アラカンの主人公たちの今後の恋の展開も楽しみ!
最新シーズンの『続・続・最後から二番目の恋』は毎週月曜日夜9時〜フジテレビ系列で放映中。
元気をくれる名言集
『最後から二番目の恋』より

1話で大人の寂しさについて語る千明のモノローグより。「不幸せだから寂しいのではなく、寂しいから不幸せなわけでもない。人は一人で生まれてきてやがて一人で死んでいく」に続く。

最終話、最後の千明のモノローグでタイトルの意図が明かされる。「人生って自分の未来に恋することなのかもしれない。自分の未来に恋していればきっと楽しく生きていける」に続く言葉。

5話の長倉家の朝食シーン。嫁ぎ先から家出して千明の家に居候中の妹典子(飯島直子)に「正しいことしか言わないからつまらない」と責められる不穏なシーンで千明が発した台詞。

3話より。和平の弟の真平(坂口憲二)との曖昧な関係に迷いながらも、「面白いならいいかな」と明るく語る千明の言葉。「この年になると傷つくことに慣れているから大丈夫」という会話も。
ドラマの大ファン!イラストレーター・五月女ケイ子さんかく語りき
『最後から二番目の恋』シリーズの魅力とは?
ドラマが始まった当初、私はまだ30代だったこともあり、小泉今日子さん演じる主人公の言動を客観的に楽しんでいたのですが、自分の年齢が追いついてきた3、4年前にシリーズ1作目を見返してみたら、共感しかありませんでした。岡田さんは男性なのにどうしてこんなにも女性の心理を言語化するのが上手なんでしょう。
おばさん!おじさん!とはっきり本音を言い合う主人公2人の掛け合いが心地いいし、キャラの濃い登場人物同士が、それぞれを受け入れている世界もずっと見ていたいくらい素敵で。今年の4月から続編が始まると聞いて、過去作を見て復習したり、鎌倉のロケ地巡りをしてしまうほど楽しみにしていました。
新シリーズは、年を重ねた主要キャラクターがみんな揃っているのを見ただけでうれしくなりました。脚本の力はもちろん、俳優陣の行間の読み方や台詞の咀嚼力、チームワークがよりドラマの魅力を高めているのだと思います。

第一シーズン『最後から二番目の恋』について
小泉今日子さん演じる千明は45歳、中井貴一さん演じる和平は50歳。今見ると2人とも若いのですが、千明はまだ年齢を重ねて変化していくことに抗っているように感じます。
特に好きなのは10話、千明の46歳の誕生日会のシーン。年を重ねると誕生日がうれしくない、サプライズも嫌だと言っていた千明が、長倉家で火事みたいに蝋燭が刺さったバースデーケーキでお祝いされるのですが、その時の和平の台詞が素敵なんです。『誕生日にはお祝いすることが2つあるんです。1つはもちろんあなたがこの世に誕生したこと。もう1つは今あなたが元気で生きていること』、『年を取れば取るほど誕生日は素晴らしくめでたいこと』。この台詞には全人類が救われます。
このドラマでは大人たちの日常が描かれているのですが、リアリティとファンタジー要素のバランスが絶妙。どこか『寺内貫太郎一家』のようなお茶の間劇の要素もあって、その世界観が大好きです。
五月女ケイ子/そおとめ・けいこ
独自の世界観とインパクトあるイラストで雑誌、装丁、広告など幅広いジャンルで活躍。『乙女のサバイバル手帖』(平凡社)、『桃太郎、エステに行く』(東京ニュース通信社)など著書多数。
『クウネル』2025年7月号掲載 イラスト/五月女ケイコ、取材・文/吾妻枝里子
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