伝説のおしゃれミューズ小林麻美さん×写真家シトウレイさん対談/後編「シミやシワも魅力に変えていくマインドを」
これから先、どう歩いていけばいい? そのヒントを求めて、伝説のおしゃれミューズ・小林麻美さんを写真家のシトウレイさんが訪問。前編「10代の頃からサンローランが好き」に続いて、人生が楽しくなる言葉をお届けします。
無駄なことはひとつもない。 体が動くうちに経験を重ねて
伝説のおしゃれミューズ・小林麻美さんを訪ねたのは、世界中のファッションシーンを取材するシトウレイさん。小林さんが寄贈した『サンローラン』のコレクションが飾られた、資料室に伺いました。
年齢を重ねて、好きなスタイルに変化はありましたか?
好きなものは変わらないのですが、残念ながら年齢と共に似合うものが少なくなってくる。今の自分にはしっくりこないな、なんか違うなという感覚を大切に、少しずつ軌道修正しています。
そういう時に客観的に自分を見つめられるか、目を逸らすか。そこがかっこいい大人への分かれ道な気がします。
年を重ねるのは悪いことじゃなくて素敵なこともたくさんある。変化を諦めるんじゃなくて受け入れる。そう思えるようになったのは、年の功かな。今のマインドで30代だったら、私は世界一出世していたでしょうね。
人生経験あってこそのお言葉ですね。私は自分の変化に心が追いつかなくて、毎朝鏡を見ては落ち込んでます。
シミやシワを見つけたら、それを魅力に変えていけばいいんじゃない? 40代50代って中途半端だし、老いていくことが怖いと思う時期かもしれない。でもそこから逃げないで、自分なりの道を模索していくしかないと思うんです。
逃げずに頑張らなくちゃ。
頑張らないで、ありのままでいいんです。私たちの年齢は、疲れるし調子が悪いのが当たり前。だからうまくいかないことも、まあいいか、って思えます。昔は中島みゆきを聴いて夜通し泣いてましたけど、今はまあいいかって寝てしまえば、朝には元気になってる。
それを聞いてすごく楽になりました。小林さんは興味の幅が広くてフットワークも軽いですよね。
写真、音楽、日本画……色々やってますが、疲れたら辞めちゃえばいいっていうマインドだと気が楽。固まりたくないから新しいものに触れていたいし、いつまでもミーハーでいたい。だって、何に出会えるか分からないじゃない?
対談を終えて。
お会いするまではクールな印象を抱いていたのですが、お話しすればするほど、やわらかくて優しくて、これが自然体ということなんだなって。新大久保で韓国コスメを見つけたり、ロック好きでライブでは最前列で踊りたいとおっしゃっていたり、興味のレンジが広くてチャーミング。すっかりファンになっちゃいました。
40代半ばになり、進むべき道に迷っていたのですが、小林さんとの対話で、進みたい方向が見えてきて、年を重ねることが楽しみになりました。今の自分を受け入れつつ、諦めないことが大切だと教えていただいたので、小林さんの背中を追いかけて、かっこいい大人を目指していきたいと思います。 (シトウさん談)
PROFILE
小林麻美/こばやし・あさみ
東京都出身。1970年代からモデル・歌手・俳優として活躍した、クウネル世代のおしゃれミューズ。’91年に出産を機に引退。2016年、本誌にて25年ぶりに活動を再開。写真や執筆など多岐にわたる才能を発揮している。
シトウレイ/しとう・れい
石川県出身。『何を着るか、ではなく、どう着るか』をモットーに毎シーズン世界各国のコレクションへ赴き、本人の審美眼に適ったスナップフォトを発信する。YouTube「シトウレイチャンネル NEW!!!」も好評配信中。
『クウネル』2024年11月号掲載 写真/土屋航、ヘア&メイク/北一騎、取材・文/吾妻枝里子、撮影協力/公益財団法人日本服飾文化振興財団
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『クウネル』NO.129掲載
素敵に年を重ねるためにしたいこと、やめること
- 発売日 : 2024年9月20日
- 価格 : 1000円 (税込)