【アクセサリーデザイナー・大人のひとり暮らし/後編】賃貸物件を最大限自分好みに整えて住む工夫
美意識が豊かだから、住むことへのこだわりを大切にするからなど、素敵なひとり暮らしの背景は様々です。やはり自分らしさを守れるかが分かれ道でしょう。人気アクセサリーブランド『マーダーポーレン』の主宰山本亜由美さんのお宅を訪ねました。
前編/動物のオブジェ、アート作品などで満ちた部屋は「森」のようからの続きです。
森に遊ぶような気分で暮らし働く豊かな空間。
アンティークの箪笥を配した向こうがキッチン。奥の壁に板を立てかけフライパンや中華鍋を下げる。手前にあるインドのカンタの布などがかかった一人がけソファはデイベッド風に使用。「寝心地はよすぎないので忙しい時はちょうどいい?!」。
調理台にもする古いミシンテーブル上には、自家製の香味野菜の瓶詰や調味料などがひしめく。よく参考にする料理本も。『西インド料理はおもしろい』『和えもの 春夏秋冬』など。ヤドリギの枝には実はカワセミのはく製がちょこんと止まっている。
賃貸マンションなので間取りも希望通りではないし、原状回復の想定も空間づくりでは課題になります。可動する壁や板をうまく利用したり、引き出したくさんの箪笥類は間仕切りに活躍。またものの多さに対抗する収納ルールもあるそう。エリア分類&隠す作戦です。
寝室の入口脇の箪笥周辺。放置したら育ったローズマリーは大きい洋酒瓶に挿し、たんかんをただ置いて時の経過も楽しむ。壁には和菓子の木型を使って創作をする永田哲也さんにお願いした松づくしやしいたけづくしのアート、モロッコの藁牛の飾り物、春の七草の小物など。ベトナム製のかごをティッシュ入れにして引っ掛けている。
「和の小さい皿はこの引き出し、とか梱包材料はこのかごの中と決めます。引き出しは閉めればいいし、かごには布でふた。それだけなんですが乱れが自分やお客さんに見えないのはストレスが軽い」
キッチンの壁に薄めの木棚をつけてグッズやスパイスをずらり。こちらも賃貸でも楽しめるディスプレイ例と言える。
凝り性で料理好き。インスタグラムも人気で料理取材も多く受けていますが、この度ずっと凝っていた春巻の本を出すことになり日々試作でキッチン仕事も多忙。
元々展示会用に購入したラッパ型花器、一目惚れした安田ジョージさん作の布製オオサンショウウオのオブジェ。
展示会で使ったグレベリアの葉とヘーゼルナッツの蔓を天井に。かもめのような鳥オブジェにも物語を感じる。
「とにかく片付ける時間がなくて……。無駄なものしか置いていない、とときどき思いますが、たぶん無駄が好きなんでしょう、私」
将来については「もっと広い部屋か荷物を大概捨てて狭い部屋に移りたい」とのこと。どちらに振れても興味津々です。
仕事部屋はディスプレイアイテムをしまうスペースとしても定着している。鎌倉彫のテーブルはどう使うか思案中。
山本亜由美さんの自宅の間取り図。
公園も眺めに入る南向きのマンションは築40年ほど。80平米以上ある3LDKは友人の紹介で偶然出合った。各部屋間口は家具や可動の壁板の位置によって少しずつアレンジ。
PROFILE
山本亜由美/やまもと・あゆみ
『マーダーポーレン』デザイナー
発足26年になる人気アクセサリーブランド『マーダーポーレン』を主宰。松屋銀座や各所でのイベントでも直接、商品やその美意識の世界に触れられる。
『クウネル』2026年5月号掲載
写真/安彦幸枝、取材・文/原 千香子
SHARE
『クウネル』NO.138掲載
幸せを引き寄せる、住まいの整え方
- 発売日 : 2026年3月19日
- 価格 : 1,080円 (税込)