「50代ひとり暮らしはさみしい?」2DKの築古賃貸アパートでのシンプルライフ、おひとりさまの将来への不安と向き合い⽅

「アラフィフからのおひとりさま生活」を発信している50代インスタグラマーのようさん。2DKの築古賃貸アパートでのシンプルライフが幅広い世代から支持されています。ここでは、ようさんの素敵な暮らしぶりを切り取った著書『50代、賃貸ひとり暮らし。 ものを手放して見つけた、 私らしい日常』より、ひとり暮らしの不安やこれからの備えについて。50代でエンディングノートを書き始めたという、ようさんのリアルな声をお届けします。
目 次
インスタフォロワー5.7万人の暮らしをまとめた一冊
長男・長女の独立をきっかけに、人生2度目のひとり暮らしをスタートしたようさん。家族と暮らしていた3LDKの家を離れ、今は2DKの築古賃貸アパートで、最小限のお気に入りだけに囲まれた暮らしを満喫しています。

ようさん PROFILE:社会人の長男と長女がいる50代のエステティシャン。子どもの独立を機に、2DKの築古賃貸アパートへ引っ越し。インスタグラム(@ohitorisama_kurasi)で、おひとりさま生活を発信中。
ようさんのモットーは「自分で自分をごきげんにする」こと。本書では、ひとり暮らしを始めるにあたっての物件探しから、現在のインテリアや収納、仕事や趣味、健康まで、ようさんが日々大切にしている暮らしの工夫を紹介しています。
さらに、お金のことや将来への不安との向き合い方など、気になるテーマについても、ようさんらしい視点で語られています。
今回は〈クウネル・サロン〉の読者のために、本書の中から一部記事を特別に紹介します。
※これより下の記事は『50 代、賃貸ひとり暮らし。 ものを⼿放して⾒つけた、 私らしい⽇常』(扶桑社)からの抜粋です。
人生2回目のひとり暮らし「第二の人生が始まった」
私の出身は群馬県。中学生の頃から「いつか東京に出て、ひとり暮らしをしたい」と思うようになりましたが、保守的だった両親は当然反対。説得を続けて、無事に東京の短大に進学し、寮に入ることが決まりました。
その後、就職するタイミングで念願のひとり暮らしをスタートして、4年ほどひとり暮らしをしていましたが、当時ものすごくさみしかった記憶があります。あれほど望んだことだったのに…。
再び50代でひとり暮らしをすることが決まったとき、初めてのひとり暮らしを思い出して、「絶対またさみしくなるぞ」と思っていたんです。だから覚悟をしていたのですが、人生2回目のひとり暮らし、いざ始まってみると「あれ? 意外とさみしくないな」と。
さみしくなると考えすぎていたのか、歳を重ねて、図太くなってきた部分もあるからなのかな。かなり久しぶりのひとりでの生活が楽しいなと思いました。

私自身、気を遣いすぎてしまうタイプなのもありますが、家族や子どもたちといるときは、自分より家族を優先してしまっていました。ご家族と暮らしている方はわかってくださる方も多いかと思います。
結局ずーっとがんばり続けて疲れてしまい、少し不機嫌になることもありました。うまく手を抜ければいいのですが、不器用でそれがなかなかできなかったんです。そんな暮らしを20年以上続けてきました。
ひとり暮らしになったことで、時間と気持ちに余裕ができました。新生活がスタートしてすぐは、自分のために料理をつくることが面倒に感じてしまい、自炊もあまりせずにお総菜生活。しばらくは家事から解放されたことを楽しんでいました。結局すぐにお総菜の味に飽きて、コスト面でも健康のためにも、自炊に戻したのですが…。
料理を盛りつけるお皿ひとつとっても「自分がこうしたい」という意思だけで決められる。これってすごく貴重なことだと。そのとき「第二の人生が始まったんだ」と思いました。
最初は自分がなにをしたいのかも、どうしたいのかもわかっていなかったのですが、だんだんと「私って、こんなこともできるんだ!」「こういうことをしたかったんだ!」と気づくことが増えていきました。これまでの私は、子どもたちを理由にして「自分で決断すること」から逃げてきてしまったのかもしれません。
また、「自分らしい暮らしって、どんなことだろう?」と考えてみました。この先の人生、もしかしたら病気になってしまうかもしれないし、ケガをして歩けなくなってしまうかもしれない。なにが起こるかわかりません。
どんな状況になったとしても、また、いつも通りの日常が続いていくとしても、私にとっての“自分らしさ”は、「自分で自分のきげんをとって、毎日を楽しく過ごすこと」。それを続けていくことが、“自分らしい暮らし”につながっていくのかなと思うようになりました。そして少しだけ「こんなことができた!私ってやるじゃん!」と、うれしくなったり。
家族と離れて、ひとり暮らしを始めるということは、今までとはまったく異なる環境になります。大きな変化の前って、とにかく不安ですよね。ですがその半面、ひとりならではのよさや、さまざまなことを自分で決められる楽しさもあります。インテリアも暮らし方も、時間の使い方も、すべてのことを自分で好きなようにコーディネートできるいい機会だと、ポジティブ変換してみるのもありだと思います。
私自身、思いきって一歩踏み出した今の生活がとても心地いいと実感しています。自分のペースで楽しみを探しながら、ひとり暮らしをスタートしていただければと願っています。
先々の不安ともしものための備え
ひとりだと、先々の不安がつきもの。きっと皆さんも漠然と不安を抱えていると思いますが、普段はなかなか口に出さないですよね。私はきちんと向き合って考えているほうだと思います。「病気になって入院することになったら?」「もし歩けなくなったら?」など。老後の不安もお金の心配も、本当は考えないほうがラクでいられるんですけどね。
もしだれかと一緒に暮らしていたら、「そんなに深く考えなくても、なんとかなる」と思っていたでしょう。私はひとり暮らしなので、「いざというとき、自分でなんとかしないと」という思いが強いのかもしれません。
老後のことだけではなく、災害が起きたときのこともすごく考えます。「災害後、もし家で過ごすとしたら」と想定し、カセットコンロやガスボンベ、乾電池式のキャンドルライト、簡易用トイレ、携帯ラジオ、大容量モバイルバッテリー、ドライシャンプー、水のいらない歯磨き、体拭きシートなど、2週間程度ひとりで在宅避難ができるように備えています。

クローゼット下には、非常用持ち出しリュックや備蓄用の食料を入れています。
たとえば夏のうちわや扇子、冬はカイロなど、暑い季節と寒い季節の両方を想定して、電気やガスが使えないなかで、必要なものを用意しておくことも大切なことだと考えています。
また、ローリングストックも取り入れています。飲料水や食品のなかで、備蓄できそうなものは多めにストックしておいて、古いものから順に消費するようにしています。私の場合は、豆乳、ナッツ、チョコレート、トマトジュースなどです。

クローゼット内のバンカーズボックスに備蓄用の食料を入れて保管。
しっかり備えておくと同時に、必ずしもシミュレーションどおりにはいかないだろうという心構えもしているつもりです。こんなにいろいろなことを考えていても、長い人生です。病気やケガなど、自分ではどうにもならないことが起こる可能性があります。備えておいたことが必ず役に立つかはわかりません。でも、今できることは無理のない範囲でやっていきたいと思っています。
想定どおりにいかないことが多々あると思うので、備えはすべて「少しでも安心材料になれば」くらいに考えています。

災害時、家の中に入れないことも想定して、外からすぐ取り出せる玄関にも備えを。
老後のために、50代でエンディングノート
50代ですが、すでにエンディングノートを持っています。1年ほど前に友人のお父さまが急に亡くなってしまい、そのあと、立て続けにお母さまも亡くなってしまったのです。
その友人は、ご両親が亡くなる前に、なにも引き継ぎをしていなかったそうです。銀行口座の相続に関しても、戸籍謄本など必要書類の取り寄せに時間がかかったり、ご両親が持っている口座の数も多かったようで…。
きっと、経験をしたことがある方なら想像ができると思うのですが、本当に大変な思いをして、相続のことに駆けずり回っているのを近くで見ていました。自分も、子どもたちのためにしっかり備えておかないといけないんだなと実感しました。
エンディングノートをいざ買ってみると、自分の基本情報、財産や資産のこと、病気や介護の希望、葬儀の希望、友人の連絡先など…実務的な項目が細かく分かれているので、けっこう楽しみながら書き込むことができました。

買ったのは『一番わかりやすい エンディングノート』(リベラル社)。本屋さんで見比べて、最も使いやすそうでした。サイズも大きくて記入しやすかったです。
貯蓄がそんなにあるわけではないけれど、銀行口座をいくつか持っています。私の身にもいつ、なにがあってもおかしくはありません。もしものときに子どもたちが困らないように、今のうちに引き継ぎたいことを書いておきました。
あとは、私が70歳くらいになったら、年に1回、息子と娘と3人で、顔を突き合わせて、話し合いでもできたらいいなと思っています。私がいなくなったあと、子どもたちの負担をなるべく少なくしたいからです。

また、今の住まいは居心地がよすぎるのですが、もし90歳まで住むとしたら、家自体が築70年くらいになってしまいます。きっと、おばあちゃんになるまで住み続けるのは難しいだろうなと思っています。もしかしたら60歳くらいでもう一度、家探しをする可能性が高いだろうと覚悟もしています。
私は、将来施設に入るのではなく、できるだけ自宅で過ごしたいと思っています。この先も自分の足でしっかり歩けるように、食事に気をつけたり、運動もして、健康でいられるように。目の前の、今できることをがんばっています。
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