昭和の名建築家・吉村順三が手がけた築46年のヴィンテージマンション【住まいの履歴】

各界著名人の気になるお住まいを拝見。これまで住んできた家のお話も合わせてお聞きする「住まいの履歴」。今回はギャラリーオーナー/ファッションデザイナーの野口アヤさんのお住まいです。
ヴィンテージマンションでのアートが映える暮らし。
ファッションブランドやギャラリー運営を手がける野口アヤさんが、夫・チダコウイチさんと愛猫2匹と暮らすのは、昭和の名建築家・吉村順三が手がけた築46年のヴィンテージマンション。古い物件ならではの佇まいに魅了され、20代で実家を出て以来、ヴィンテージ住宅ばかりを選んできました。
「実は20年ほど前、このマンションの隣の部屋に住んでいたんです。ひと目惚れして住んでいたのですが、事情が重なり泣く泣く引っ越すことに」。その後、都内のヴィンテージマンションや米軍の将校ハウスなどに住んだのち、再び運命に導かれたのは10年前。偶然にも空きが出たのを見つけ、大好きなこの物件に戻れることになりました。

庭へ続くリビングとダイニングには段差があり、その少しの高低差が特徴的な野口邸。元保護猫のベッチン、フラノと暮らす野口さん。リビングでのんびりしていると、近くにやってきたフラノ。
住まい同様に、家具も古いものが好き。ですが経験を重ねて、インテリアを選ぶ基準にも変化があったそう。「直しながら大切に使っているヴィンテージ家具もありますが、最近ダイニングチェアとソファは新品に買い換え。名作といわれるデザイナーズ家具の使い心地にも気付きました」。
部屋づくりで何より大切にしていることはアートとの調和。
「造り付けの家具や床の色に合わせて、空間のトーンを揃えること。アートが映えるように、色のバランスを考えています」。
どこに暮らしていても「自分たちらしさ」を追求してきた野口さん。現在は都心と海のそばの2拠点生活ですが、これからの住まいについてお聞きしました。
「終の棲家については、夫ともよく話します。だけどこの家を手放すことは、今は考えられない。それくらいお気に入りの家としっくりくる暮らし方なんです」

ダイニングから見えるリビングと庭の眺めが気に入っている。「私が座る定位置が決まっていて、そこから眺める景色が大好き」。

レコードや洋書もお気に入りをコレクション。アーティスト・長谷川有里さんのゆるいぬいぐるみ作品がいい味に。
住まい年表
●28歳〜40代半ば ヴィンテージ物件を転々
乃木坂や目黒のヴィンテージマンション、現在のマンション(隣の部屋)、池尻大橋にあった米軍の将校ハウスなどに暮らす。

以前住んでいた、ヴィンテージマンションの様子。
●30代半ば〜現在 東京と秋谷の2拠点生活
2005年、別荘地の古い一戸建てをリノベーション。初め6年間はメインの住宅、現在は別荘として、週末や休暇を過ごす。

PROFILE
野口アヤ/のぐち・あや
ギャラリーオーナー/ファッションデザイナー
環境に配慮したもの作りを続けるブランド『ayanoguchiaya』を手がけながら、代官山の古民家を改築したアートギャラリー「SISON GALLERy」を運営。現在は東京と神奈川・秋谷との二拠点生活を楽しむ。Instagram:@ayanoguchiaya
『クウネル』2025年5月号掲載 写真/馬場わかな、取材・文/阿部里歩
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