整理収納コンサルタント・本多さおりさんの65㎡4人暮らしの家/前編。「収納は最小限、家に広さは求めない」

整理収納コンサルタントの本多さおりさんに、家が片づいている理由や、そのための秘訣や心がけていることを伺いました。
動線を考えた配置で家事をラクに、見た目の美しさも両立。
「家に広さは求めない。収納は最小限でいい」――。この先10年の暮らしにフォーカスして住まいを作り上げた本多さおりさん。5年前に65平米の中古マンションをリノベーションし、小学生の男の子2人と夫の4人で暮らしています。
\動線を考えた間取り/

キッチンやシンク横のデスクカウンター、吊り戸棚、可動式の棚もリノベーションの際に設計士が考えて作ってくれた。料理、配膳、 食事、食器の片づけ、仕事がすべて数歩の移動でできる動線に。
\開放感のあるリビング/

和のリビングはモダンな宿をイメージ。子どもの勉強机は窓際のコーナーに。
まず目を引くのはオープンな間取り。個室はなく、ワンルームのような部屋の中央に収納とサニタリールームを配置、それをぐるりと一周できる回遊性のあるつくりになっています。
\家事がスムーズにいく動線/

玄関から右ルートは“家事通り”。洗濯機の正面にはバスルームがあり、入浴時は収納式の引き戸を閉めれば脱衣所が見えないようになっている。
\紙素材の収納メインのパントリー/

キッチンのパントリ一。取手つきで引き出しやすい紙素材の収納ケースには、水筒やお弁当箱などを仕分けし、ごちゃごちゃしないよう工夫。
「設計士の方に唯一リクエストしたのは、キッチン、ランドリー、洗面所を壁付けで一列に並べること。買い物から帰宅したときも、玄関を入るとすぐに洗面所があり、手を洗ったらランドリーを抜けて、冷蔵庫のあるキッチンまで一直線。生活動線に合わせて水回りの機能をまとめることで、家事がスムーズに回るようにしました」
\食器収納は食洗器のそばに/

食洗機からのアクションを考えた食器収納。身長166cmの本多さんは上の吊り戸棚にも余裕で手が届く。「逆に下のものは取りづらいので動きや目線に合わせて収納を考えます」

置くものに合わせて棚板の間隔を変えられ る可動式の棚を設置。棚の隙間も活用。カゴのトレーは郵便物を入れて。
\一軍調理グッズはスタンバイ/

出しておくものは1軍の調理グッズだけにして極力少なく。調理はホットクックが活躍。これを置くために広い調理台にした。
キッチンにも動線を考え抜いた収納の工夫がたくさん。食器は食洗機の真上の吊り戸棚と、隣にある引き出しの上段左右2つに収納。食洗機から食器を取り出してすぐしまえるようにしています。
「上下の引き出しに食器をしまうとなると、上の引き出しをいったん閉めないといけないじゃないですか。その動作がムダですよね。わずかな手数でも毎食のことなので、積み重なると大きな負担に」
\一目瞭然な引き出し収納/

キ ッチン収納は引き出し式。『イケア』のフレームに合板を貼りコストをカット。上から見てわかるよう調味料はフタが透明の容器に。

築19年、65平米。3LDKだった部屋をリノベーションして回遊できるワンルームに。リビングと寝室の間は収納式の引き戸で仕切れるようになっていて、戸を引き出せば個室に。
PROFILE
本多さおり/ほんだ・さおり
整理収納コンサルタント
オンラインで毎月収納相談室を開くほかVoicyなどで活躍。ラクに片づいて家事がしやすい収納づくりを提案。「無印良品と365日」 (大和書房)ほか著書多数。
『クウネル』2025年5月号掲載 写真/玉井俊行、取材・文/矢沢美香
※後編に続きます。