パリで開催の「ファッションウィーク」レポート。会場を彩るフラワーアレンジメントはさすが本場!と感動します

パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISの主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。今月は荻野さんが、「お花と共にあるパリでの暮らし」について教えてくださいました。
ファッションウィーク期間の、パリの様子。
私は、WEBサイトトリコロル・パリの仕事と並行して、かれこれ20年ほど、ファッションウィーク中のアテンド通訳をしているのですが、今年1月末も、日本からいらしたバイヤーさんとたくさんのショールームをまわらせていただきました。
この時期のパリは、メンズのファッションウィークが開催されるのが通例なのですが、近年は、ウィメンズのプレコレクションを発表するブランドが数多く増えたため、メンズだけでなく、ウィメンズのバイヤーさんもこのタイミングにパリに買い付けに訪れます。ちなみに、ウィメンズのメインコレクションは3月上旬です。

素敵なロケーションのアパルトマン内で行われることもあるショールーム。おかげで、普段は見られない角度からヴォージュ広場を堪能できる。
ファッションウィークと聞くと、セレブやジャーナリストたちが個性的な着こなしでハイブランドのデフィレに訪れるイメージが強いですが、同時に、プロのバイヤーさん向けの合同展示会やショールームがパリの各所で開かれ、世界中から数々のブランドが次の秋冬コレクションのアイテムを紹介すべく集います。

こちらも、とあるショールームからの眺め。エッフェル塔も疲れた体を癒してくれる存在。
バイヤーさんも同じく、世界各地からパリに訪れ、ほんの数日の間に、何十件というアポをこなして買い付けをするべく、足を棒にして毎日朝から晩まで、色々なショールームをまわります。長年、こうしたバイヤーさんのお姿を拝見していますが、ランチも簡単に済ませ、もちろんパリ観光や個人的なショッピングを楽しむ時間すらないほどのスケジュールでとにかく過酷!さらに、次のシーズンの売り上げを左右するチョイスを、こんな短時間で決定するというのは本当に目利きでないとやっていけないお仕事だなぁと毎回のごとく敬服しています。

こういった歴史的な建物内にも入ることができるのが、パリのファッショウィークの特別なところ。
疲れを癒してくれる、「お花」の存在。
私はそんなバイヤーさんをアシストする形で付いてまわっているだけなので、彼、彼女たちと同じストレスは決してないのですが、それでも立ちっぱなし、歩っきぱなしが続くと疲れが溜まってきます。
そんなとき、目につくのが各ショールームに必ずと言って良いほど飾られている美しいお花たち。受付のカウンターだったり、商談するテーブルの上だったり、素敵なブーケが出迎えてくれて、心から癒されます。

アパルトマンのショールームにて。暖炉の上にコロンとした形のペールピンクのチューリップ。

商談する卓上に欠かせないのは、ミネラルウォーターとお花。
「花のある暮らし」という言いまわしが定着して久しいですが、フランスに住んでいると、単に言葉だけでなく、花がもたらしてくれる真の幸福感や喜びを実感できる場面に、しばしば出会えます。
特にショールームに飾られているお花は、普段ホテルやレストラン、ショップなどで見かけるものとは少し雰囲気が違っていて、お花の種類や色の組み合わせだけでなく、花器選びや置く場所、隣に置く照明やちょっとした小物にも、それぞれのフローリストのセンスがうかがえます。
個人的に、花の名前もあまり良く知らず、自宅にも意識して花を飾る習慣がない私ですが、それでも、ふとした場所にそっと佇む花々に思わず笑顔がこぼれます。
写真・文 荻野雅代
SHARE
この記事の
プレミアムメンバー

トリコロル・パリ
荻野雅代さんと桜井道子さんのユニット。パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISを主宰。最新ニュースやカルチャー、旅行・観光情報をはじめ、さまざまな情報を発信している。初のエッセイ『フランスの小さくて温かな暮らし365日~大切なことに気づかせてくれる日々のヒント』(自由国民社)は6万5000部のヒットに。
https://tricolorparis.com/