暮らしの達人、一級建築士 田中ナオミさんが考える「家事が楽しくなる家」は?片づく住まいの秘密を伝授

40年間、個人住宅を手掛けてきた住宅設計者であり、「生活を積極的に楽しむこと」がモットーの一級建築士、田中ナオミさん。考えずにできる住まいワザを披露した著書『60歳からの暮らしがラクになる住まいの作り方: がんばらないでムダをなくす「片づく」家事と収納の知恵袋』(主婦と生活社)は、大掃除や片付けを考えたいこの時期にぴったりの一冊です。

第2回目は、家事が楽しくなる家についてレクチャーしていただきます。

家事がはかどる住まいとは?

私が住宅を設計する際に意識しているのは「動線」です。

「動線」=「住み手の暮らし方」が住宅と一体になってぐるぐる回るようにいつも考えています。だから、設計の前には必ず、「好きな家事」と「嫌いな家事」、その理由を確認 します。そのうえで好きな家事はもっと好きになるように、嫌いな家事は「嫌い」を払拭できるように組み立てていきます

コンロ周りは調理中にパッと道具を取れるように、必要なものだけ出しておくとスムーズ。

家事が楽しくないとこまごましたことが滞り、結果はかどりません。では、 家事を楽しめなくしている原因は何か。ひとつに「ミスマッチ」があります。

片づけと家事は直結しています。片づけも家事も生活の一部。すなわち「片づく住まい」「家事がはかどる住まい」と、密接な関係です。切り離して考えると片づけも家事もミスマッチは改善されません。

細かい洗面道具などはオープン棚に一列に並べ、洗面台周りをスッキリさせることで掃除がしやすくなります。

洗濯後のタオルは一旦椅子などに置き、次に脱衣室に来たときに棚にしまいます。

なかでも収納を見直す際の、①物量、②ものの居場所、③配置、収納の仕方は、家事のミスマッチを取り除くのに効果的です。

扉を開けてスッキリ片づいた家の出入口はやっぱり気持ちがいいので、履いて乾燥させている靴以外は出しっ放しにしません。

\家事のミスマッチを改善する効果/
・物量→適正量にすることで探す手間が省け、出し入れがラクになる
・ものの居場所→適材適所で行ったり来たりがなくなる
・配置→使用頻度順にすることで家事の動作に無駄がなくなる
・収納の仕方→アクション数が減り、流れがスムーズに

寝る前にシンクやカウンターの水滴をきれいに拭き上げておくと、1日の始まりが気持ちよく迎えられます。

家事ひとつひとつの流れや動きを思い浮かべながら、どこに何を置き、どの ように収納すると家事がはかどるか考えてみましょう。上手く軌道にのって楽しめるようになると、「もっとこうしてみよう」と向上心も湧いてきます。

その日履いた靴は玄関の隅に数日置いて、乾燥させてからしまうことを習慣にしています。

住宅は自分らしい暮らしを豊かに楽しむための道具。ライフスタイルにフィットして上手く機能していると、家事は当たり前のようにはかどります。

家族の置きっ放しのものがたまりがちなリビングこそ、スッキリをキープ。

詳しくは発売中の本書を

『60歳からの暮らしがラクになる住まいの作り方: がんばらないでムダをなくす「片づく」家事と収納の知恵袋』(主婦と生活社)

片づけの目的は、きれいにすることではなく、自分の時間をもっとラクしてつくるため。一級建築士として住み手を笑顔にする住宅を一筋に手がける田中ナオミさんが、暮らしがラクになる住まいの作り方を提案!

60歳からの暮らしがラクになる住まいの作り方: がんばらないでムダをなくす「片づく」家事と収納の知恵袋』(主婦と生活社)

※本記事は『60歳からの暮らしがラクになる住まいの作り方: がんばらないでムダをなくす「片づく」家事と収納の知恵袋』(主婦と生活社)からの抜粋です。

撮影  鈴木真貴/編集・執筆  岩越千帆(smile editors)

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