雑貨店店主が建てたアンティーク家具が似合う家ーPEDLAR・松井由起子【住まいと暮らしvol.58】

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回のササキサキコさんのバトンを受けてご登場いただくのは、雑貨店「PEDLAR(ぺドラー)」を営む松井由起子さんです。

松井さんの暮らしのルール

1)家族との時間を大事にする
2)とりあえず、で買い物をしない
3)いつも笑顔で前向きでいる

2003年に雑貨店「PEDLAR」をオープンした松井さん。

「20代の頃インテリアショップで働いた経験から、身の丈にあった好きなものだけを販売したいと思いました。よろづやのようになんでもあって、いろいろな方が気軽に立ち寄れる身近なお店でありたい。たくさんのものが溢れる今ですが、作り手の思いがこもったものや質の良いもの、自然素材のものなど、心地よい暮らしが送れるものを提案していきたいです」

ロフトから見たリビング。「カーテンをつけていないので光がたっぷりと入り、吹き抜けということもあり広々として気持ちのよい空間です。家族はみんなここで過ごすことがほとんどです」

「料理は得意ではないけれど、器が好き。店で取り扱っている作家さんのものやクラフトフェアで購入したものなど。こちらの引き出しは、小皿コーナー」

薪ストーブは『Vermont castings』のアンコール。「田舎で薪はもらえるので、冬の暖房費はゼロ。体の芯まで暖まります。冬は、ピザや焼き芋を作って食べるのが楽しみです」

松井さんの愛犬バディ。「ラブラドールは4代目。今までは、保護犬でしたが、今回は、盲導犬協会からキャリチェンジ犬を迎えました。30キロもありますが、甘えん坊です」

松井さん宅の掃除道具。「デザインがかわいいので、あえて見えるように飾っています。右から2番目のものは、デンマークで作る職人さんのソフトブラシ。ほかは、ドイツのREDECKER社のもの」

家にはいつも花を飾るようにしているという松井さん。「花屋で買うことはなく、庭に咲いている花や、犬の散歩途中で見つけた野花を飾っています。この時期は、庭に咲いていたどくだみを飾っています」

家のラグは、ほとんどがトライバルラグ。「家具は無垢の木で、重厚感のある赤との組み合わせがとても気に入っています」

子ども部屋にも、時間をかけて集めたアンティークが。「特にヨーロッパのろくろ脚のものが好きで、子どもの勉強机やダイニングテーブルも、ろくろ脚のものを選んでいます」

2階の寝室。「チェストは、海外製に見えますが、実は日本のもので夫が塗装しました。窓からの景色が最高で、いつも鳥のさえずりで目が覚めます」

ウッドデッキは、愛犬もお気に入り。「これも夫が制作しました。夫のこだわりがすごく、表からビスが見えないような作りになっています。休みの日は、ここで昼からビールを飲みます」

自分たちでできることは自分たちで作る、ハーフビルドで家を建てた松井さん。「外壁は、ウエスタンレッドシダーを割って薄い板にしたものを1枚1枚、2か月近くかけて貼りました」

庭にあるトレリス。「庭にジャスミンを植えたくて、トレリスを探していました。自分たちのイメージのものがなかなかみつからず、結局自分たちでデザインして、鉄工所で作っていただきました」

夫と共通の趣味だというガーデニング。「花屋の友人からアドバイスをもらいながら、3年近くかけてやっと理想の庭に完成しました。休日の午前中は、ほんんど庭で剪定や植え込みをしています」

庭の先端に作ったスカイデッキ。「見晴らしがよく、夏の夜はここにテーブルと椅子を置いて、星を眺めながら食事をしています」

隣の畑で採れたプラム。「あまりにもたくさんいただくので、そのまま食べるのはもちろん、毎年ジャムにしています。子どもも大好物!」

そんな松井さんのご自宅は、家具のほとんどがアンティーク。

「インテリアに妥協はせず、欲しいと思ったものは見つかるまで探します。とりあえずで買い物はしないので、家づくりはまだまだ続いています。夫は家具職人だったので、二人でデザインして作ったものもあります。アンティークは、時間が経ったからこそしか出せない重厚感と存在感が好き。特にヨーロッパのものが好きで、ろくろ脚のものが多いです。アンティークを買ってペイントすることも多く、『farrow & ball』のペンキは色の種類の豊富さと色加減が絶妙で好きです」

キッチンの様子。「ごちゃごちゃしているのが好きではないので、できるだけ収納にしまい、すっきりと見せています。家具職人をしていた主人がキッチンも制作しました」

郊外の緑に囲まれた暮らしの中で、たくさんのことを学んだという松井さん。

「移りゆく季節を感じながら、旬のものを食べる。梅がなれば梅干しを作り、大豆があれば味噌を作る。昔の人たちが当たり前にしてきたことを自分も当たり前にできるように、自然に感謝しながら暮らしていきたいです」

松井さんのお店「PEDLAR」は、今年で21年目。「国内外の、華やかでないけれど、普段の暮らしがちょっと楽しく、豊かになるようなものを集めています」

profile

松井由起子/まついゆきこ

横浜生まれ。自由が丘のインテリアショップに勤務後、2013年相模原に「PEDLAR」をオープン。衣類、食、雑貨など、普段の暮らしがちょっと豊かに楽しくなるような暮らしにまつわるものを扱っている。出産を機に7年前、緑を多い場所を求めて郊外に引っ越し。ハーフビルドで夫と家を建てる。夫、8歳の息子と愛犬とともに暮らす。
http://pedlar.jp
Instagram @pedlarzakka

松井さんがバトンを渡すのは、「花の店 輪(りん)」を営む荒木幸恵さん。「古くからの友人で、家族ぐるみのお付き合い。家もとても素敵で、丁寧な暮らしをしています」と松井さん。荒木さんの暮らしは、6月下旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。

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