自宅は家族みんなの基地。陶芸作家・つちやまりさんの“ながら仕事”がはかどる部屋【前編】

作品が生み出されるクリエーターの住まいとは?今回は陶芸作家・つちやまりさんの創作の場であり、暮らしのベースにしている期間限定のご自宅に伺いました。

PROFILE

つちやまり

陶芸作家。神奈川県・葉山町生まれ。京都で陶芸を学び、25歳で開窯以来、各地の個展やグループ展などで作品を展示販売している。Instagram:@potterylove

あえて暮らしと仕事を一緒くたにする

18畳のダイニングに置いたテーブルは食事の他、家族がそれぞれのもの作りをする場所にも。階段の奥がキッチン。南側はカーテンをつけない窓とその下はすべて収納スペース。

陶芸作家のつちやまりさんが制作するのは、タタラ技法で作られる磁器。手びねりによる風合いと可憐な草花の絵付けが特徴の器は、個展でも人気です。工房を兼ねた自宅は、文京区の113㎡の3階建て。家主が長期出張のため、期間限定で借りているそうです。

「今は子ども達の学校のことを鑑みて東京に住んでいますが、次男が大学生になったら、私は葉山に戻るかどこかに移住するのが夢です。だから、あと6~7年だけの住処。東京での生活も期間限定と思って、楽しんでいます」

つちやさんは神奈川県・葉山で生まれ育ち、7年前まで地元の葉山で暮らしていました。その後、住んだ文京区内のレトロな家屋が取り壊しになるのを機に、昨年末に今の家へ引越しました。

ふだんの生活と仕事を同時進行できる間取りに

通常はリビングとして使用するダイニングに繋がる一角に設けた工房。道具類は可動式のワゴン、釉薬などは取り出しやすい棚に収納。

花のレリーフが美しい皿は、石膏型で成形し乾燥させている状態。この棚はダイニングから続く窓際に。窯場は1階のガレージに設置。

自身の私物作品が飾られた棚。印判や絵付けによる装飾が、アンティーク風でもあり、どこかエキゾチックな魅力もある、個性的な器。

「前の家は自宅と工房や窯場が別棟だったので、一旦庭に出て行き来しなくてはいけなかったんです。なので、この家では暮らしと仕事を一緒くたにしたくて、あえてリビングスペースを工房にしました」

通常、LDKとして使われる2階に、リビングの代わりに工房を作りました。フロア中央に置かれた大きなダイニングテーブルは、両親が結婚したときから長い歴史を刻んできた飛騨の家具。フロアの一角が作業スペースですが、このテーブルでも作業したりしながら、1日のほとんどをこのKDK(キッチン、ダイニング、工房)で過ごすそうです。(後編に続きます)

後編を読む

『ku:nel』2023年9月号掲載 写真/目黒智子、取材・文/黒澤弥生

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この記事の
プレミアムメンバー

つちやまり

神奈川県葉山町で育ち、高校時代はカナダに留学。帰国し京都精華大学にて陶芸を学ぶ。横須賀市秋谷に築窯。その後長く葉山で活動し、2016年東京都文京区へ移転。年間6-8回の個展を20年以上開催している。
tsuchiyamari.com
Instagram:@potterylove

『クウネル』No.122掲載

やっぱり、家が好き!

  • 発売日 : 2023年7月20日
  • 価格 : 980円 (税込)

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