かごの季節到来!衣替えの習慣のないフランスで、かごは夏らしさを感じます
パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISの主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。6月は荻野さんが、夏になるとパリの街にあふれる「パニエ」について紹介します。
季節の変わり目がさほどはっきりしていないフランスでは、日本のように改まって衣替えをする習慣はないのですが、それでも、夏になるとクローゼットの奥から引っ張り出してきたくなるのが、パニエと呼ばれるかごバッグです。薄手の素材の装いには、レザーやキャンバス地のバッグよりも、藁やコリヤナギで編んだカゴが似合う気がして、ここ最近はいつもかごバッグを持ち歩いています。この時期は、セレクトショップや雑貨屋さんにもいろんな形のものが並んでいて、ついつい新調したくなるから危険です。
おしゃれなかごバッグに限らず、パニエはフランスの暮らしに欠かせない大切な日用品でもあります。丈夫で使い勝手の良い大きなパニエは、マルシェなどでのお買い物の必需品。みんなそれぞれ、年季の入った愛用のパニエを持っていて、カゴ好きな私は思わずじっくり観察してしまいます。台形をひっくり返したような形の平たいパニエが一般的ですが、底が浅いものや、ピーナッツの殻を半分に割ったような2つのふくらみがあるものなど、卵やイチゴのような潰れやすい食材も運びやすい形のパニエもよく見かけます。
ほかにも、パン屋さんやチーズ屋さんなどのお店で使われているパニエは、それぞれ、パンやチーズの形にあった専用のフォルムのトレーやカゴがあり、眺めているだけで楽しいです。一般家庭でも、切ったパンを入れるCorbeille à Pain(コルベイユ・ア・パン)と呼ばれるパンかご、薪を重ねて置くためのU字型のパニエ、常温保存できる野菜をいれるカゴなど、本当に多種多様なカゴがあり、必要に応じてどんどん進化し、新しい形のカゴが次々と作られてきたんだなぁと、フランス人と編みカゴの長い歴史を感じます。
こうしたパニエやカゴを売る専門店は、残念ながら、年々少なくなっています。軒先にたくさんのカゴが吊るされている風景は、なんとも素朴で可愛らしく、これからもずっと残って欲しいなと願うばかりです。
文・写真/荻野雅代
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プレミアムメンバー
トリコロル・パリ
荻野雅代さんと桜井道子さんのユニット。パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISを主宰。最新ニュースやカルチャー、旅行・観光情報をはじめ、さまざまな情報を発信している。初のエッセイ『フランスの小さくて温かな暮らし365日~大切なことに気づかせてくれる日々のヒント』(自由国民社)は6万5000部のヒットに。
https://tricolorparis.com/