もうすぐ160周年!アールデコの階段など見るべきポイント満載のパリの『プランタン』

パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISの主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。今月は桜井さんが、2025年に創業160周年を迎えるパリの老舗デパート『プランタン』について紹介してくれました。

パリのデパートはどこも19世紀に創業した老舗ばかりですが、どのお店も時代に合わせてどんどん進化し続けていて、パリで今、買うべきものがひと目でわかる、そんなスポットになっています。

世界最古の百貨店と言われるボン・マルシェに次いで二番目に歴史が長いのがプランタンで、来年160周年を迎えます。

19世紀末〜20世紀初頭に発行された、ホームリネンのカタログや、1960年代に販売されていたレースのリボン。カタログ自体のデザインや色合い、フォントまで美しい。

当時、パリ万博でお目見えしたばかりのエレベーターを早速設置したり、フランスで初めて全館に電気照明を使ったり、近代的な設備をいち早く取り入れたプランタンですが、最も驚くべきは、そのネーミングでした。

 

金箔とモザイクで飾られた外観も創業当時のままのデザイン。一部が一般開放されているテラスからはエッフェル塔などパリの景色を一望できる。

サステナビリティをテーマにした新しいコンセプトフロア「7ème Ciel」が2021年オープンしたのと同時に、何十年ぶりかで一般公開されたアール・ヌーヴォーのステンドグラス。

価格(ボン・マルシェ=安い)や場所(ギャラリー・ラファイエット=ラファイエット通りのギャラリー)にちなんだ名前をつけるデパートが多いなか、プランタンだけは「春」という季節の名前。新しい命が芽吹く時期の、フレッシュで明るい印象を与えるこの名前は、まさに、当時としては画期的なイメージ戦略だったんです!

1920年代アールデコの優雅な大階段。なんと1980年代以降は普段は使わない非常階段として隠されていたが、2023年に再び誰でもアクセスできるようになった。

創業時の建物は火災で焼けてしまったものの、その後に再建された19世紀末の建物(現在のメンズ館)、そして20世紀初頭に建てられたお隣のレディース館はどちらも歴史的建造物に指定されていて、そのころの姿を今に残しています。

1920年代に春の空をテーマに作られた、ステンドグラスのドーム天井。3181枚ものガラスが使われていて、第二次世界大戦中は取り外され倉庫に保管されていた。

ステンドグラスの大きなドーム天井や大階段など、店内のいたるところに、美しく着飾ったパリジャン・パリジェンヌたちが街を闊歩していたベル・エポックのパリにタイムスリップしたような気分になれる場所が隠されています。

入口ホールの床のモザイクや壁の大理石も当時のまま残っている。ショッピングに急ぐ前に、ちょっと足を止めてこの雰囲気を味わいたい。

私も毎回ショッピングに行くたび、美しい装飾を見つけては隅々まで眺めてうっとりしています。

1920年代のフレスコ画がなんとも優美なロトンダ(円形の部屋)。ラリックが手がけたという天井の照明もとってもモダンで素敵。

撮影・文/桜井道子

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トリコロル・パリ

荻野雅代さんと桜井道子さんのユニット。パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISを主宰。最新ニュースやカルチャー、旅行・観光情報をはじめ、さまざまな情報を発信している。初のエッセイ『フランスの小さくて温かな暮らし365日~大切なことに気づかせてくれる日々のヒント』(自由国民社)は6万5000部のヒットに。
https://tricolorparis.com/

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