【映画好きの3本】韓国のトップ歌手ソン・シギョンさんが「バラードにして歌ってみたい映画」
各界の映画好き著名人がそれぞれの視点でおすすめの映画3本を紹介する「映画好きの3本」。今回は歌手ソン・シギョンさんのおすすめをご紹介します。
映画をバラードにして歌ってみたいそう思わせる、何度も観た作品。
『人生を決めたとか、僕の映画とか、こだわっている作品はないんです。好きな映画には順位もつけられないし。この3本は今日の気分で選んだ大好きな映画。どれも10回は観ていて、しいて言うと全部バラードにして歌いたい」
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』
韓国のトップ歌手ソン・シギョンさんは、昨今YouTubeで料理を披露したり、グルメ番組の顔となっていることもあり『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』を1本目に。追い込まれた元人気シェフが、キューバの食との出会いから挑戦に打って出る内容です。
「自分自身の再生に家族との関係再生も入り、話としてはありふれているようだけど、決してありふれてないんです。巧みな演出あればこそだし、俳優たちの演技もバランスも完璧。とにかくシェフが作っていたキューバサンドイッチやニューオーリンズのスイーツ、『ベニエ』を食べたくて仕方なくなる。それだけで映画として既に素晴らしいと言えるのでは? 料理が添え物ではないんです」
主演を務めているジョン・ファヴローも好き。「いわゆるイケメンではない……。そこにも共感を持ったのでしょうか僕。イケメンじゃないつながりで?!、2本目は恋に落ちたくなる映画です」
『50回目のファースト・キス』
やさしき獣医師が、記憶障害を背負うラブリーな女の子に一途に恋する『50回目のファースト・キス』。
「彼が愛するルーシーに自分の気持ちをギターで弾き語る『フォゲットフル・ルーシー』、最高です。すごくシンプルなメロディーで、映画のテーマをずばり語っていました。イケメンでないアダム・サンドラーが魅力的に見えてしようがない。そして僕もこんな曲が作りたい!」
恋愛映画党を自認するソンさん。
「ランニングマシーンに乗っているときもラブバラードを聴く人間です。愛の映画は飽きません。ファンタジーも信じていれば力が湧きます。僕も歌手として、毎日、何回でも愛を伝えたい。この映画を観ていると、勇気が出ます」
『エターナル・サンシャイン』
ささいなことで喧嘩別れした恋人同士。ジョエルはクレメンタインが自分の記憶を消し去ったとわかり、自分も同じように彼女の記憶を消そうとする。複雑な構造に見えシンプルに愛をテーマにした物語。
監督/ミシェル・ゴンドリー 出演/ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレットほか 2004年作品
U-NEXTで配信中
©2004 FOCUS FEATURES, LLC
3本目も恋愛映画で『エターナル・サンシャイン』。「料理の達人が作ったシンプルなスープみたい」とたとえます。「CGなしカメラワークだけで、人間の記憶や感情を表現した映画です。別れた彼女の記憶を消したい。でもどうやっても惹かれてしまうんですよね。僕もそんな運命があるって信じたい。魅力的な話だと感じます」1本の映画からたくさんのことを受け止めて、心を動かす感受性の強い人!
後日のエピソードも聞かせてもらいました。
「実はこれを初めて観たとき、別れた恋人のことを思い出して『この映画観た?』って何気なく連絡して。そうしたら『観たよ』という返事が来て、それからまたつき合ったんです。まあ昔の話です」映画を通して同じことを感じたから、2人はあまり語らずまた一緒に……とは。この話自体が映画であり、バラードです。
PROFILE
ソン・シギョン/そん・しぎょん
歌手
1979年生まれ、2000年デビュー。「バラードの皇帝」「鼓膜彼氏」とも呼ばれる韓国の国民的歌手。YouTubeでも活躍している。
『クウネル』2025年9月号掲載 写真/天日恵美子 、取材・文/ 原千香子
SHARE
『クウネル』NO.134掲載
それゆけ!大人のニッポン観光
- 発売日 : 2025年7月18日
- 価格 : 1,080円 (税込)