マチュア世代はひとり旅が心地よい。写真家・在本彌生さんが魅せられた奄美大島の魅力

「自由で気が楽」「一人だからこそ、旅先で面白い人や出来事に出合うことができる」。ひとり旅好きのみなさんが話してくれたエピソードにはそんなお楽しみがいっぱい。自身で撮影した写真を見せてもらいながら、そんなひとり旅の誘いに耳を傾けてみませんか。
島内ひとりドライブも楽しい、奄美大島に魅せられて。

羽田空港から直行で2時間強。奄美群島は加計呂麻島、与論島など8つの有人島からなる。写真は奄美本島と加計呂麻島で撮影したもの。
芭蕉やソテツの鬱蒼たる森、ごつごつとした岩場に寄せる大波。写真家の在本彌生さんは、鹿児島本土と沖縄本島のちょうど中間あたり、世界自然遺産にも登録されている奄美大島に惹かれ、通い続けています。

緑の深さが島の魅力。
「奄美のジャングルは本当に濃くて深いのです。この森に身を置いて、その深さを、ただただ感じてみてほしいです」と在本さんは目を輝かせます。撮影を目的とした旅が多い在本さんにとってひとり旅はごく当たり前なスタイル。被写体を撮影することは、1対1のダイレクトな関係を結ぶということでもあります。こちらがひとりだからこそ、相手も安心して撮影者に心を開いてくれるのだとか。

いつでも海に入れるように水着は常にバッグの中に。
ちょっと緊張する場面に遭遇したこともあるけれど、「いろいろな旅先で、たくさんの人に助けられてきました。助けられた分、私も誰かを助けたい、恩返ししたいのです。そんなふうに助け合いが循環していけばいいなって思います」
レンタカーを借りて、島の外周をぐるりとドライブするのがお楽しみ。亜熱帯の森と海の風景を楽しみながらの一日がかりの行程になります

海外アーティストともコラボレーションする「金井工芸」の仕事風景。泥染めはこちらで体験することも可能。
奄美大島は大島紬で知られる染織の高い技術を誇っています。紬の美を生み出す〈泥染め〉という唯一無二の染色技法は島内の工房で見学したり、体験することも可能。島には独特の信仰や祭祀が根づいていて、固有の文化を感じることも楽しみのひとつです。

海の女神と天の男神を招き、豊年や家内安全を祈る神事「今井大権現祭」。
「高級リゾートはそれほど多くないけれど、手頃な宿も多く、ひとりでも気軽に泊まれます。おすすめなのは名瀬港近くの古本店『あまみ庵』をのぞくこと。充実した本の中から、土地の情報や歴史を少し仕入れて、島を違った角度から見てみるのも楽しいです」

うなぎとご飯を月桃の葉で包んで蒸し上げた、島ならではの「さねん蒸し」。
PLOFILE

在本彌生/ありもと・やよい
写真家 55歳
外資系航空会社の客室乗務員から写真家に転身、国内外を旅して多くの作品を発表している。写真集『Lithuania Lithuania Lithuania!』(アノニマ・スタジオ)を発表。
『クウネル』2025年9月号掲載 取材・文/船山直子
SHARE

『クウネル』NO.134掲載
それゆけ!大人のニッポン観光
- 発売日 : 2025年7月18日
- 価格 : 1,080円 (税込)