【常盤貴子さんが綴る豊かな日常のこと1】好きすぎて買い足したコートはパリ経由の日本ブランドでした

女優の常盤貴子さんが刊行したフォトエッセイ『小さな幸せで満たす日々』(主婦と生活社)。50代を迎えた常盤さんが大切にしている「衣食住」の工夫や心がけが、愛用する品々とともに綴られています。
「丁寧に暮らす」などと構えなくても「今、できることだけ」、案外それでいいのかなと思う。(本書「季節の手しごと」より)
——そう語る常盤さんの地に足のついた暮らし。そこにある小さな気づきやこだわりには、豊かな日常を送るためのヒントが詰まっています。
その中から、一部抜粋して連載三回でお届けします。
「パドカレ」のコート
パリに行くと必ず立ち寄っていた、マレ地区にあるセレクトショップ「Merci(メルシー)」。仕事が立て込み、普段は買い物に行く時間が取れなくても「次のパリ旅行では『メルシー』に行ける! それまで頑張ろう」と思えた。それほどまでに「メルシー」には、好きなものが溢れている。お洋服、雑貨、生活用品……。パリジェンヌ・パリジャンたちは、きっとこういうおしゃれなものに囲まれた生活をしているんだろうな、と思わせてくれる店内の品々に訪れるたび胸がときめいた。



クタッとした風合いがたまらなく好き。袖や裾から裏地がチラリと見えるのもこなれ感があっていい。
この薄手のコートも10年くらい前に「メルシー」で購入したもの。濃すぎず、薄すぎずの絶妙なベージュで、微かにラメを感じるあたりはマットなゴールドともいえる上品な色。裏地が袖や裾から少しずつ出てきているデザイン。きっちりとしたボタンではなく、フックがついているところも気に入っているポイントの一つ。
あまりにも好きすぎて、この一着に寿命がやってくることを考えたくなく、どこかでもう一枚購入しておきたいと必死に探した。すると、メルカリに一着だけ出品されているのを見つけた。これで安泰だわ! 初メルカリはとても便利で、無事、購入できた。
今はクロゼットで一代目が出番を終える日を今か今かと待っている。二代目が控えているのだから一代目よ、そろそろ後進に席を譲ってはどうですか、とクロゼットの洋服仲間たちはことあるごとにささやいている、気がする。が、一代目はいつもこう言う、のだろう。「いや… …ここからが、味ってもんじゃろう… …」。結局、大好きなこのコートを捨てられないだけなのかもしれない!!

春先や秋口にサラリとはおれて便利。ロングスカートを合わせても軽やか!
ちなみに、余談ではありますが、このコート、タグには「pas de calais」と書かれてある。パリで見つけたものだから、当然フランス製だと思って、何年も、何枚も「メルシー」でこのブランドのお洋服を買っていました。
けれどある時、スタイリストさんが「常盤さん、『パドカレ』お好きですよね?! 展示会行きますか?」と。「え? 日本でも展示会するの?」と聞くと「はい。日本のブランドなんで」と。しかも、私が所属する事務所(今は引っ越して別の場所に移った)から歩いて3分のところに。パリ経由、ご近所さん。ただならぬご縁だったようで……。
PROFILE

常盤貴子
神奈川県出身。ドラマ『愛していると言ってくれ』『Beautiful Life』『グッドワイフ』『御上先生』、映画『赤い月』『20世紀少年』『野のなななのか』などに出演。現在、KBS京都・BS11・TOKYO MX「京都画報」(ナビゲーター)、NHK Eテレ「おとな時間研究所」(司会)に出演中。
暮らしを心地よく彩る“好きなもの”を、飾らない言葉で綴ったフォトエッセイ、好評発売中

小さな幸せで満たす日々
50代の常盤さんが大切にしている“普通の暮らし”と“人生後半に備えて日々心がけていること”などを「暮らし」「おしゃれ」「美容と健康」「心の栄養」「仕事と私」の5つのテーマで7万字超の文章で綴ったフォトエッセイ。フォトグラファーの撮影による常盤さんのカラーグラビアも一部盛り込みつつ、エッセイ部分の写真はすべて自身の撮影によるもの。
『小さな幸せで満たす日々』(主婦と生活社)1,700円+税

『ナチュリラ 心地いい暮らし展』開催、常盤貴子さんが紹介する商品も販売
雑誌『ナチュリラ』の世界観を映した、お買い物イベント『ナチュリラ 心地いい暮らし展』が開催。全国から「かわいい」「素敵」「あると嬉しい」アイテムが大集合します。本書『小さな幸せで満たす日々』で常盤貴子さんが紹介している私物と同じ商品の一部を、「ナチュリラ 心地いい暮らし展」の編集部ブースに設けた“常盤貴子商店”で販売します。
出展ブランドやアイテムなど、イベントの詳細はインスタグラム@naturela_eventにて。
場所:町田パリオ4F パリオフィールド(東京都町田市森野1-15-13)※小田急線・JR横浜線「町田駅」より徒歩3分
期間:2025年11月22日(土)、23日(日)10:30~17:30(23日は17時まで)
撮影/木寺紀雄(カバー、常盤さん)