文筆家・甲斐みのりさんの「地元パン」巡り。日本各地で愛される町のパン屋さんの魅力

自分の好きをとことん極めた“テーマのある旅”は、旅先の風景や人との出会いまでも、特別なものにしてくれます。偏愛たっぷりの旅を楽しむに、文筆家・甲斐みのりさんにその魅力を伺いました。
テーマがあると旅はもっと楽しくなる。

毎年通っている、別府の友永パン屋。
昭和20~30年代までに創業した町のパン屋さんを“地元パン”と名づけ、20年ほど前から研究・採集を続けている甲斐みのりさん。

友永パン屋の犬のかたちの「ワンちゃん」とあんパン。
「戦後は栄養を補うため、大きめで高カロリーなパンが生まれたのも、その時代ならではの工夫や知恵だと思っています。地元の人が通い、みんなで同じ味を共有してきたからこそ、多くの人にとっての“町の味”に。そんな地元パンから、その土地の暮らしや歴史が見えてくるんです。地元の人に親しまれている様子に触れたり、そのおいしさに感動したりするたびに、必ずまた訪れたいという気持ちが湧き起こります」
旅先では、朝ごはんやおやつにしたり、家族や友人へのお土産にしたりして地元パンを楽しみます。
「もちろんホテルの朝食もいいですが、その土地に根付いたパンを味わうことこそ、旅の醍醐味でもあるんです。パン屋さんまで歩いて買いに行き、宿泊先や公園で食べる時間は、普段の暮らしまで見つめ直すことができる特別な時間。家族や友人へのお土産に持ち帰りたくなるのも、地元パンが暮らしの延長にある証なのかもしれません」
PROFILE

甲斐みのり/かい・みのり
文筆家
旅や散歩、お菓子、手みやげ、建築などを主な題材に、書籍や雑誌に執筆する。「地元パン」や「地元アイス」など、かわいいものを発掘する達人。
『クウネル』2025年9月号掲載 取材・文/ 阿部里歩
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