森の中に建つ、木をふんだんに使った暖かさと循環を感じる家ーメイクアップアーティスト・早坂香須子さん 【住まいと暮らしvol.68】

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回の四井千里さんのバトンを受けてご登場いただくのは、メイクアップアーティストの早坂香須子さん

早坂さんの暮らしのルール

1)循環を意識する
2)半身浴で心と体を整える
3)無理をしない

長く暮らした東京を離れ、昨年の夏に長野県に移住。静かな森の中で暮らす早坂香須子さん。

「8年前から2拠点生活に向けて、軽井沢や八ヶ岳などを視野に入れて、土地探しをスタートしました。2022年に、今暮らすエリアの湖畔に移住した友人夫妻の家に遊びに行ったとき、北アルプスや湖の風景に魅了されました。すぐに友人夫妻の知り合いからの紹介で今の土地に出合い、購入を決意。家づくりは3000平米の森を間伐するところからスタートしました。豊かな森を育むため、間伐は欠かせないこと。森の更新の大切さを痛感し、森の循環のなかで暮らすことを選びました」

 

掃除がしやすく、火力の微調節が可能だという「リンナイ」のガスコンロ。「次にバトンを渡す、飯田尚子さんのキッチンを真似させていただきました」

森の中の暮らしは、四季がはっきりとしていているところが魅力だという早坂さん。どのシーズンも美しく、同じ瞬間がないと気付かされるといいます。

「家を建てる際は、実際に訪れたアルヴァ・アアルトとジョージア・オキーフの家やアトリエをかなり参考にしました。天井や壁には間伐材を使い、暖かさと循環を感じる家ということも意識しています。インテリアでは、白、ベージュ、木というテーマで統一したところが、特に気に入っています」

お気に入りのティーセットは、陶芸家のスティーブ・ハリスンさんのもの。「ロンドンにあるアトリエにお邪魔したときに、購入しました。奥さまの手作りケーキがおいしかった思い出があります」

環境の大きな変化とともに、過ごし方も大きく変わったという早坂さん。2022年から「KAZTERRAMORI」名義で発表してきた絵画作品は、2024年には詩画集の出版、代官山のSISON GALLERyで個展も開催。活動の幅をさらに広めています。

 

アトリエには本や画材、楽器など、趣味のものがずらり。

「外食も減り、毎日するものではなかった料理も、生活の楽しみのひとつになりましたし、ぐっすり眠れるようになりました。これからも描くことと書くことは続けていきたいと思っています」

切った間伐材は壁や天井、家具にふんだんに使用しているそう。「季節によって、ラグで変化をつけています」

作業台にもなる、森の間伐材を使用したキッチンの棚。「1cm単位でしつらえをオーダー。コーヒーやお茶セット、トレイなど、日々使うものを置いています」

家の中心にあるキッチンカウンターを照らすのは、ニューヨーク在住の陶芸家で、ご友人でもあるShino Takedaさんのライト。

広くスペースをとったパントリー。「このパントリーのおかげで、片付けが苦手な私でも家の中が散らからなくなりました」

お茶道具は木工作家・井藤昌志さんのシェイカーに入れて。お気に入りのリネンをかぶせて、キッチン棚にスタンバイ。

探しに探して、実際に座って決めたという「ウッドユーライクカンパニー」のUSUテーブルとMOCHIチェア。「国産のナラ材を使い、職人が木に負担をかけず、丁寧に作っています。座って森を眺めていると、あっという間に時間が過ぎます」

家の設計をした設計事務所「/360°」の代表・納谷新さんご夫妻から、竣工祝いのひとつとしてプレゼントされたという、秋田のこけし。「わが家のかわいい守り神のようです」

都市ゴミ由来の「溶融スラグ」を使用したリサイクルタイルと、森の間伐材を使った洗面所。「循環を意識しつつ、思い描いた通りの理想的なスペースになりました」

半身浴で長い時間を過ごすバスルーム。「最もお気に入りの場所かもしれません。琺瑯のバスタブや床のサーモタイル、壁のモールテックスの色まで、ショールームに通って妥協せずに選びました」

家の建具は、長野県大町市の木工作家・木工ヤマニさんによるもの。「猫ドアもデザインや猫だけ通れる大きさなど、細部までこだわりました」

洗濯かごは山形の「ツルヤ商店」のもの。「かごというかごに入らないと気がすまない、うちの猫たちです」

profile

早坂香須子/はやさかかずこ

看護師として勤務後、メイクアップアーティストに転身。数々の雑誌や広告等で活躍。アロマや植物療法にも精通し、執筆やオーガニックコスメのディレクションなど、活動は多岐にわたる。AMPP認定 メディカル フィトテラピスト。近著に文筆家・服部みれいさんとの共著『わたしの中にも朝焼けはある』(河出書房)など。2024年の夏に長野県に移住し、森の再生をしながら暮らしている。
Instagram@kazukovalentine

早坂さんがバトンを渡すのは、飯田尚子さん。「飯田さん(通称Pacoさん)は、私をこの森に導いてくれた人。彼女たちの自然を楽しむセンス豊かな暮らしを見て、すぐにここに住みたいと思えました」と早坂さん。飯田さんの暮らしは、2月中旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。

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