屋根裏部屋の昼寝も快適な築140年の古民家。陶芸家・白倉えみさんのくつろげる部屋 (後編)

ほっとする、リラックスできる、落ち着く。クウネル世代にとって部屋は、くつろげることが大切です。それは、家族の形態が変わりひとり暮らしをするようになっても、実家を引き継ぎリフォームすることになっても、都心から自然豊かな地に暮らし替えをしても、そしてパリのアパルトマンでも。自分のスタイルとさまざまなストーリーを持つ16組のくつろげる部屋をお届けします。今回は陶芸家・白倉えみさんのお部屋です。

前編はこちら

間取り

約150平米。築140年。屋根裏部屋などもあり、増築した部分もあるイレギュラーな間取り。2階へはダイニングルーム脇の階段から。自宅兼工房であり、店としてのギャラリースペースも。

長年住んでいても飽きない、楽しみが続く家。

食事をしたり、テレビを観たり、お茶したり、夫婦で多くの時間を過ごすダイニングルーム。昔ながらの台所や年代ものの水屋箪笥が、昭和レトロな雰囲気。密閉性が悪く、断熱材など入ってない古民家だから、冬は寒いが夏は涼しい……はずだったが、最近の猛暑には耐え切れず、一昨年、ついにこの部屋にエアコンを設置。

「ずっと家にいるので、ご飯食べたらまたすぐに作業している……。手離れ悪いというか、際限なく続けられちゃうんですよね。だから、ゆっくりくつろいではいないのですが、休憩時間は多いです。以前に腰と膝を痛めたこともあり、こういう仕事だから腰を伸ばさないといけないので、座るよりも寝転がっちゃいます。縁側のハンモックや屋根裏部屋で大の字になり、静かで風が心地いいと、そのまま寝落ちしてしまうことも……」

また、同じく家で創作作業をする夫は、「休憩がすごく必要な人で、頻繁にお茶しようと」。夫が家にいるときは、1日に何度もお茶タイムになるのだとか。

和室の床の間にディスプレイされた、えみさんの小さな作品(右手前)とよしみつさんの愛らしい表情の作品(左)。

玄関をあがったコーナーは夫の読書スペース。個性的なフォルムの椅子と丸太スツール、手前のオブジェも夫の作品。

敷地も広い一軒家なので「庭の手入れや外周りの掃除など、することは多いですが、好き勝手に花木を植えられるし、雑草取りで植物や土に触れることでも癒されるんです。仕事でも土に触れますが、それとはまた別の感覚」。そんな白倉さんにとって、この家は「楽園」だといいます。

葉山との境界線の長者ヶ崎を越えたあたりから、「場が変わるような気がする」という白倉さん。この辺を舞台にした泉鏡花の『草迷宮』でも描かれているような、ちょっと不思議な気配が普通に感じられるという場所。そこで暮らすことが、ものづくりにおいても、単純ではない深みを加えてくれるのかもしれません。

この家でいちばん採光がいい2階のアトリエ。轆轤(ろくろ)や窯場は1階ダイニングの奥にあり、ここでは主に手びねりなどの作業を。壁面に古道具の箪笥とトーンを揃えた統一感のある収納。真空管を使ったミニコンポからいい音が。

PROFILE

白倉えみ/しらくら・えみ

陶芸家。第2金曜から月曜は自宅併設のKURAKURA storehouseにて、自身と夫の作品展示の他、他の作家の展示なども行っている。Instagram:@kurakura_storehouse

『クウネル』2024年7月号掲載 写真/加藤新作、取材・文/黒澤弥生

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『クウネル』NO.127掲載

くつろげる部屋が好き!

  • 発売日 : 2024年5月20日
  • 価格 : 1000円 (税込)

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