パリ在住23年目のパリ通が案内。観光客は絶対に辿り着けないバスティーユ広場裏の素敵路地

パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISの主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。今月は桜井さんが、パリのかわいらしい路地について教えてくれました。

パリの街を歩いていると、表通りに面した鉄の門を開けると通れるタイプの「私道」に出くわすことがあります。常に門が閉じられていて、暗証コードを知っている住民のみが通れる道は、門の外から様子をうかがうことしかできません。

一方、住民以外の通り抜けが許可されている道もあり、そこに住むパリジャン・パリジェンヌたちの日常を垣間見たくて、つい引き寄せられてしまいます。そういう私道はたいてい、両側にアパルトマンや一軒家が立ち並ぶ小さな路地です。

車が入ってこないので小さな子どもたちがボール遊びをしていたり、かと思えばおしゃれなブティックやオフィスがあったり、それぞれに雰囲気は異なりますが、良い意味でちょっと閉ざされた、ひとつの村のようなその空間を歩くたびに「もしここに住んだら…」と妄想してしまうのです。

昔ながらのパリの趣を感じさせる石畳が素敵。この通りは1990年代に改修されたが、どこかレトロでゆったりとした雰囲気は残されている。

誰でもアクセスできるパリの私道のなかで、私のお気に入りのひとつが、この「Cour Damoye(クール・ダモワ)」です。バスティーユ広場に面した2つのカフェにはさまれて、知らなかったら絶対に気づかず通り過ぎてしまいそうな小さな入口があります。中に進むと、昼夜を問わずにぎわう広場の喧騒が嘘のような静けさが広がっています。

建物のファサードにからまる蔦がいい雰囲気。手前の地面の丸い部分はおそらくかつて井戸があった場所。壁の小さな噴水も愛らしく、まさに「パリの中の田舎」と言える風景。

表にさりげなく置かれた鉢植えの可愛らしさと、ドアのブルーのセレクトに真似したいセンスを感じる。

この小道が18世紀に作られたころは、職人さんのアトリエが並んでいたそうですが、今はアートギャラリーやレザーグッズの店、コーヒー豆専門店などが軒を連ねています。もちろん建物の上階は普通のアパルトマンになっていて、住民らしき方もちらほら見かけますが、いつ行っても人通りがあまりなく、本当に静かで癒やされる、できれば秘密にしておきたいスポットです。

広場とは反対側の通りに面した入口には装飾が美しい鉄の扉がある。夜間と日曜の午前中、住民以外はアクセスできない決まりになっている。

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ぎゅっと旅するパリ 暮らすように過ごすパリ

人気サイト「TRICOLOR PARIS」を主宰する同名ユニットのおふたり(荻野雅代・桜井道子)が手がける、パリの最新ガイドです。フランス在住、そして20年以上、パリとフランスの観光情報を発信するふたりにとって、実に5年ぶりのガイドブック執筆。コロナ禍を経て変わった、新しいパリがたくさん詰まった一冊です。

■著者:トリコロル・パリ 荻野雅代 桜井道子
■定価:1,980円(税込)
■仕様:A5/160ページ/オールカラー
(世界文化社)

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撮影・文/桜井道子

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トリコロル・パリ

荻野雅代さんと桜井道子さんのユニット。パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISを主宰。最新ニュースやカルチャー、旅行・観光情報をはじめ、さまざまな情報を発信している。初のエッセイ『フランスの小さくて温かな暮らし365日~大切なことに気づかせてくれる日々のヒント』(自由国民社)は6万5000部のヒットに。
https://tricolorparis.com/

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